今年(2018年)のディスプレー最大の学会「SID(Society for Information Display)」は、昨年(2017年)と同じ米国ロサンゼルスで5月20~25日に開催された(図1)。来年(2019年)はサンノゼで開催される予定で、西海岸の主要展示会場をローテーションするのが定例になりつつある。ディスプレーの生産拠点と開発拠点が東アジアに集中している現状では、参加者の利便性を考慮すると妥当な判断であろう。

図1 昨年に引き続きSID 2018の会場となったロサンゼルス コンベンションセンター
ダウンタウン中心部から歩いて行ける距離にあり、地下鉄の駅も近く、便利である。(筆者が撮影)
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 今年のSIDのシンポジウム全体を通じて感じたのは、中国からの発表論文がさらに増加して内容も大変充実してきたことと、マイクロLED(micro LED)や量子ドット(QD)などが新たな技術トレンドとして注目を集めるようになったことの2つである。自発光型の量子ドット素子は、まだ課題は多いものの、韓国と中国の研究機関が実用化に向けてしのぎを削っており、一昔前の有機EL(OLED)セッションのような熱気を感じることができて面白かった。解決すべき課題も業界として共有されてきているので、今後、誰がそれを最初に解決できるのかが楽しみである。

 SIDの毎年のプログラムを比較すると、ディスプレー業界の技術動向がよく分かる。AR/VRはここ数年の主要テーマとしてしっかり定着してきているが、マイクロLEDがこれほど注目されるようになると予想した人は少なかったのではないだろうか。マイクロLEDと量子ドットの共通点は、表1に示すように実用的な応用製品で市場を拡大しつつ、究極の自発光フルカラーディスプレーを目指して技術開発が進んでいるところである。いずれもうまくいけば有機ELをしのぐ究極のディスプレーになる可能性があり、今後目が離せない注目分野になりそうである。

表1 マイクロLEDと量子ドットの応用分野の比較
(※LEDの名称分類は論文番号66.1の発表内容から引用)
素子
現状製品
自発光ディスプレー
自発光ディスプレー
LED
※ピクセルピッチ(P)で
呼び方が変わる
RegularLED(P=数mm)
MiniLED(P=0.2~0.8mm)
MicroLED(P<0.2mm)
LEDディスプレー
高効率、高輝度
コスト
実装工程
輝度ばらつき補正
QD(量子ドット)QDフィルム
色再現範囲拡大
QDディスプレー
理論上、有機ELより
広い色再現が可能
効率、製造均一性
Cdフリープロセス
(出所:筆者が作成)

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