楽天がEC(電子商取引)で磨いた技術力を武器に、携帯電話市場に乗り込む。新事業の勝算、テックカンパニーとしての強み、将来像、EC戦略――。創業22年目で連結売上高を1兆円の大台に乗せた創業者が単独取材に応じた。

(聞き手は大和田 尚孝=日経 xTECH IT 編集長、山端 宏実=日経 xTECH/日経コンピュータ)

連結売上高が1兆円を超えました。

 インターネット革命の衝撃は、楽天を創業した1997年に想定していたよりも桁違いに大きかったです。今やネットという目に見えないレイヤーがあらゆる分野に広がっています。

 1兆円というのは誇るべきことかもしれません。でも、もはや登り切った山です。私たちは目標を達成したら次の瞬間には忘れ、次の山を決めます。「Does not live in the past, live in the future(過去に生きるな、未来に生きろ)」です。

三木谷 浩史(みきたに・ひろし)氏
1988年、一橋大学を卒業し、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。93年にハーバード大学で経営学修士号(MBA)取得。97年にエム・ディー・エム(現楽天)を設立し、社長に就任。2001年から現職。12年に発足した一般社団法人新経済連盟の代表理事も務める。1965年生まれの54歳。(写真:村田 和聡、以下同)
[画像のクリックで拡大表示]

今後も成長を続けるためには、何が必要でしょうか。

 未来を見て、大きなリスクを取ることです。常に進化し続ける。

 日本人は「こういう制約があるからこんな風にならないはずだ」と考えがちです。我々がライドシェア大手の米Lyft(リフト)に投資したときも、みんな否定的でした。

 でもトランスフォーメーションはあちこちで起こっています。自動車業界を例にとれば、所有から利用の時代に変わっていくはずです。だとすれば自動車会社も地方行政も積極的に動くべき。でも(日本は)そうはならない。民泊もそうです。結局、外圧に(市場を)こじ開けられ、国内の事業者はどんどん衰退していく。

 だったら、まずは海外でやっておこうぜという考え方です。今までの紙やモノ中心のビジネスがデジタルで究極的にどう変わるのかをイメージするわけです。急な変化もあれば、緩やかなものもあります。でも行き着く世界は同じだと思うんです。時間が長くかかるか短いかだけの話です。だったら、どうやってそこに早くたどり着けるかを考えるべきです。

携帯は縛りなし、出入り自由

今秋に参入する携帯電話事業に対しても、懐疑的な見方があります。

 (見方が)変わってきています。楽天は仮想化技術を使ったソフトウエアによる通信ネットワークを目指しています。あらゆるネットワーク技術者が夢に思っていた姿。アポロ計画のようなものを実現しようとしています。

 IT業界でクラウドが登場した頃に匹敵する衝撃が、いま通信業界に走り始めています。完全に仮想化した通信ネットワークは、クラウドが出現してサービスの本質が変わった以上にインパクトがでかい。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら