本記事は、日経 xTECHの「「2025年の崖」を回避するための新指針、経産省のもくろみ」(2019年1月17日掲載)を再編集したものです。

 「ソフトウエアがこれからの日本にとって最重要分野になろうとしている今こそ、日本のIT産業に残っている構造的な問題を解消しなければならない」。2018年12月に「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」(通称:DX推進ガイドライン)を公表した経済産業省の成田達治大臣官房審議官(商務情報政策局担当)は強い危機感を口にする。「ITベンダーとユーザー企業の双方が危機意識を持っている今は変化のチャンスでもある」。

経済産業省の成田達治大臣官房審議官
[画像のクリックで拡大表示]

 老朽化した既存システムが残存した場合の経済損失は2025年以降、毎年最大12兆円に達する――。2018年9月に経産省が「DXレポート」で指摘した「2025年の崖」問題は、企業向けITシステム関係者から大きな関心を集めた。

 DXレポートはITベンダーやユーザー企業などの識者を集めた「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」での議論を経てまとめたもの。企業がDXを推進するには老朽化した既存システムの刷新や、ユーザー企業とITベンダーとの関係の改善が必要だと提言した。対応策の一つとしてDXを推進するためのガイドラインを策定する方針を示していた。

 経産省は同研究会での議論や、DXレポートで示した素案に関するユーザー企業やITベンダーなどとの意見交換を基にガイドライン案を作成した。2018年11月からの意見公募では100件弱の意見が集まったという。成田審議官は「ユーザー企業やITベンダーから非常に建設的な意見が届いた。研究会のメンバーにもあらためて意見をもらい、それらを踏まえてガイドラインを決めた」と振り返る。

ユーザー企業のDXを2つの取り組みで後押し

 DX推進ガイドラインは「DX推進のための経営のあり方、仕組み」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の2分野、計12項目から成る。「経営戦略やビジョンが提示できているか」「経営トップ自らがこれらの変革に強いコミットメントを持って取り組んでいるか」などを挙げた。一部の項目には失敗例や先行例の情報も盛り込んでいるものの、基本的には抽象的な表現にとどまる。

 「DXの取り組みは経営そのものであり、具体策は企業ごとに異なる」(成田審議官)からだ。「さらに言えば国が正しい方策を示すべきものでもない。そこで有識者の意見を基に、業種や企業を問わず必要になる要点を示した」(同)という。企業の競争力強化につながるDXを推進する体制ができているかどうかのチェックリストとして、経営者や投資家にDX推進ガイドラインを活用してもらうことを想定している。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら