意図を読み取るのに時間が掛かる、人によって異なる解釈をしてしまう――。開発の現場を混乱させる困った技術文書。その原因を探ると、たった1文字、2文字に行きつくことが珍しくない。言葉と言葉をつなぐ役割を果たす、「助詞」や「助動詞」の使い方に問題があるケースだ。

 コンピュータハウス ザ・ミクロ東京の豊田倫子代表は「助詞の使い方一つで、文章の意味は変わりうる。早く正しく伝わる文章を書くには、助詞の使い方に注意を払う必要がある」と話す。

 豊田氏は、企業の業務システム導入支援やマニュアル作成などを手掛ける中で、数多くの技術文章に接してきた。同氏が実際に現場で出会った4種類の文章を基に、助詞・助動詞の使い方のポイントを見ていこう。

例文1:「と」は複数の意味を生む
PCとプロジェクターをつなぐケーブルを用意してください。

 このような作業指示を受けたとき、用意すべきものは何か。「この文章では、二通りの解釈ができてしまう」(豊田氏)。

 一つは、「PC-プロジェクター間をつなぐケーブル」だけを用意すればよいという解釈。もう一つは、「PC」「PC-プロジェクター間をつなぐケーブル」の二つを用意するという解釈だ。

 原因は、助詞の「と」にある。「と」は、AND条件を示す「かつ」の意味を持つ。「と」が「用意してください」に係ると考えれば、用意すべきものとして「PC」と「ケーブル」の二つがある、という意味になる。一方で、「と」が「つなぐ」だけに係るのであれば、用意すべきものは「ケーブル」だけになる。

 このように、複数の意味を持ちうる文章を「多義文」と呼ぶ。情報を誤解なく伝える必要がある技術文書では、「多義文は避けなければならない」(豊田氏)。

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