クラウド重視の戦略が奏功する一方、ライバルAWSの牙城は堅い。顧客に新たなクラウド導入を促すとともに、競合への移行を防げるか。パートナーや顧客の声を真摯に聞く体制と姿勢が求められる。

 クラウドサービスを提供する企業へと変貌したマイクロソフトだが盤石とはいえない。企業向けクラウドの売上高で米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を上回る規模になったものの、売り上げの多くをOffice 365に頼っているとみられる。企業の業務システム基盤としてはAWSが優勢とされる。

パートナー数はAWSの2割

 日本マイクロソフトの平野拓也社長も「AWSがクラウド基盤の市場で早くから実績を重ねているのは事実だ」と認める。国内の認定パートナー数はAWSの540社に対しAzureは130社と2割強にとどまる。パートナー数の多さは顧客企業の選択肢に直結する。

 パートナーの拡充には持ちつ持たれつの補完関係を維持することが欠かせない。「パートナーの評価軸が毎年のように変わるので、ついていくのが大変だ」。あるパートナー企業の担当者はこう打ち明ける。一度出した方針の転換を「迷走」ととるか「変化への対応力」とみなすか。マイクロソフト自身は後者だと考えるが、いつもすんなりと受け入れられるとは限らない。

 マイクロソフトはパートナーとともに技術者を育成する。100人のAzure技術者を育成すると2017年6月に発表したNECは「2018年3月時点で200人規模に増やした」(ビジネスクリエイション本部の鳥居直彦営業推進部長)。

 顧客を自社のクラウドに呼び込めたとしても安穏としてはいられない。Azureの全社導入を進める北國銀行の杖村修司専務は「常に移行のことを念頭に置いてシステムを構築している。別のクラウドが好条件になったら載せ替えも検討していく」と明かす。AWSや米グーグルといったライバルとも手を組む全方位戦略は顧客企業がライバルへと乗り換えるリスクと表裏一体だ。積極的なR&D投資などを通じて自社の製品やサービスの魅力を高め続けることが欠かせない。

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