SurfaceやOffice 365をきっかけに客との接点を強め、クラウドの利用を促す̶̶。日本マイクロソフトの営業担当者はこの作戦で客先訪問に全力を注ぐ。だが製品は売らず、技術支援やノウハウ提供に徹する。

 社内会議は月曜日だけで上司が部下の時間を拘束できるのは3時間まで、会議向けにゼロから資料を作るのは禁止―― 。全ては顧客企業向けに時間を使うためだ。同社の営業担当者は2017年以降、この掟に従い時間の8割を顧客企業のために使っている。

 クラウドサービスを売る組織に変貌した同社は顧客企業との関わり方も変えつつある。ソフトの販売が主力だった時代は直接の関係を持てなかった顧客企業の元に、営業担当者が足繁く通う。目指すのは一言で言うと調停役だ。

図 北國銀行のマイクロソフト製品採用の歴史
業務インフラを一手に引き受ける存在に
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きっかけはSurface導入だった

 「営業担当者が週に1度は訪ねてくる」。こう話すのは石川県金沢市に本店を置く地方銀行、北國銀行の杖村修司専務だ。同社は日本ユニシス製の勘定系システムをマイクロソフトのパブリッククラウドに移す方針を固めた。2020年前後に稼働させる。高い信頼性と処理性能が求められる銀行の勘定系システムをクラウド上で動かすのはネット銀行を含め国内初だ。

 実績重視で保守的な銀行が多いなか、北國銀行の大胆な決断を後押ししたのが日本マイクロソフトのまめさだ。きっかけは2014年の本店移転に伴いタブレット「Surface」を全行員に配備したプロジェクトだった。タブレットとノートパソコンの2台持ちだったのをSurfaceに統合した。行員の業務はすべてSurfaceの仮想デスクトップ環境で担えるようにした。内線電話もマイクロソフトのIP電話「Skypefor Business」に切り替えた。このときから日本マイクロソフトが北國銀行を頻繁に訪問するようになった。その関係がAzure上でのインターネットバンキングシステムの開発につながり、ついには勘定系システムのAzure移行方針を固めるまでに至った。

 日本マイクロソフトの営業担当者は客先に直接通うものの、客から直接受注するなど「パートナー外し」のような行動はしない。システム構築を担うパートナー企業のビジネスを支援する立場で、顧客のニーズの把握や課題の解決に努める。ここが、直販にこだわる日本IBMや富士通など大手ITベンダーの営業とは一線を画す。顧客企業からすれば「次は何を買わされるのか」と警戒せずに相談しやすく、大手ITベンダーからの乗り換えが進みやすい。実際、北國銀行はかつて日本IBMの勘定系システムを採用していた。

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