クラウド事業は後発だったが、巻き返して軌道に乗せた。力を入れたのは商材つまりサービスの拡充だけではない。社員やパートナー企業の評価指標、組織の在り方など全てをクラウド前提に組み替えた。

図 マイクロソフトの株価の推移と主な出来事
ナデラCEO就任から時価総額は2倍超に(写真提供:マイクロソフト)
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 マイクロソフトの社員がよく使う言葉がある。「この顧客のコンサンプションが伸びたね」「コンサンプションで販売奨励金を増やします」。

 コンサンプション、すなわち消費量。マイクロソフトのクラウドサービスを顧客企業がどれくらい使っているかを示す考え方だ。AzureやOffice 365などの利用者数や使っている機能数、利用頻度などを基に顧客企業やパートナー企業ごとに算出する。営業担当者やパートナー企業の評価指標にも使う。マイクロソフトはこの数年、様々な場面でコンサンプションという言葉を使うようになった。

 ソフトウエアのライセンス(利用権)を買い取ってもらう事業であれば、顧客がそのソフトを使いこなしても全く使わなくても売り上げは変わらない。クラウドは違う。利用量が増えれば売り上げが伸びる。コンサンプション重視とは目先の売り上げを追い求めるのではなく、将来の売り上げを確保するクラウド企業としての中長期戦略だ。

バルマーが種まき、ナデラが収穫

図 クラウドサービスのリージョン(地域)数
クラウドに本腰

 ソフトの会社からクラウドの会社へ、売り上げ重視からコンサンプション重視へ――。変化を牽引したのが第3代最高経営責任者(CEO)のサティア・ナデラ氏だ。「モバイルファースト、クラウドファーストで過去に取り組んできたことの大部分を見つめ直し、新しいことをしなければならない」。就任した2014年2月4日、ナデラCEOは社員にこう呼びかけた。

 クラウド企業へ転換する戦略は奏功し、就任から4年間でマイクロソフトの時価総額は2倍超に増えた。実は変化の種をまいたのはスティーブ・バルマー前CEOだった。「マイクロソフトが覚悟を決めた。これは当社も本気でやらなければ、と思った」。富士通でマイクロソフトとの連携を担当する松下香織シニアアライアンスディレクターは2008年の開発者会議が転機だったと指摘する。米アマゾン・ウェブ・サービスや米セールスフォース・ドットコムが台頭した時期だ。マイクロソフトは後追いながらクラウドサービス「Windows Azure」を発表し、企業の既存システムをクラウドで動かす方針を打ち出した。

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