米国のインフラ点検市場の開拓に挑む日本人がいる。西日本高速道路会社が設立した現地法人、ネクスコ・ウエストUSAの松本正人社長だ。2017年に元請けとして初の点検業務を受注し、飛躍への足掛かりをつかんだ。国内で培った非破壊検査技術が、海外展開の強力な武器になる。日経コンストラクションがインタビューした内容をお届けする。

まつもと・まさと
1972年生まれ。97年神戸大学大学院博士前期課程修了、日本道路公団入社。東名高速道路などの保全業務を担当。2003年にコロラド大学大学院へ留学。08年に西日本高速道路会社の海外事業部に配属。11年に「NEXCO-West USA, Inc.」の設立と同時に副社長として米国に赴任。16年から現職。技術士(建設、総合技術監理)、APECエンジニア(Civil)、米国バージニア州PE(Civil)(写真:ネクスコ・ウエストUSA)
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 西日本高速グループが国内で培った非破壊検査技術を武器に、米国の点検市場に参入してから6年。2017年は節目の1年になりました。

 バージニア州が発注した橋梁点検業務の受注に成功したのです。これまで下請けとして経験を積んできましたが、初めて当社が元請けになりました。しかも19橋分の床版を赤外線で点検するという先進的な内容で。

 赤外線カメラでコンクリート構造物の表面温度を測定すると、健全部と異常部の温度履歴の違いで浮きや剥離を見つけられます。機材を車に取り付ければ、走行しながら調査できるので、交通規制が要りません。

 床版にアスファルト舗装を施す日本では下面から点検しますが、コンクリートがむき出しの米国では、上面から点検できるのです。

車に搭載した赤外線カメラで、路面の損傷箇所を調査する様子。写真に合成したヒートマップはイメージ(写真:ネクスコ・ウエストUSA)
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 実はこの業務には、米国連邦道路庁の予算が使われています。赤外線による点検の有効性を検証する目的があるのです。我々の点検結果を基にした研究リポートが、いずれ公表される予定です。今回の受注額は2万ドルほどですが、リポートを通じて技術の有効性が知れ渡り、100~200橋単位で発注してもらえるようになれば、収入源として当てにできると期待しています。

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