「60歳を過ぎても最前線で働き続けたい」。こんな意欲を持つシニアが増えている。人手不足もあって、雇う立場のIT企業も定年延長などに動く。シニアと会社の利害関係が一致するかのようだが、現実はそう単純ではない。自身の体力、年齢による差別、現役世代へのしわ寄せ―。最前線で活躍するシニアとIT企業への取材を基に、「老害」にならず「戦力」として活躍するための勘所を探る。

ITの仕事をしている皆さん、60歳を過ぎたらどんな仕事をしていると思いますか?80歳で現役バリバリ。先輩であるシニアIT人材たちの今を知り、自分の将来を想像してみてはいかがでしょう。

 IT業界で奮闘するシニア人材の生きざまは様々だ。リストラを機に転身し、現役を続ける人もいる。シニア7人のリアルに迫る。

得技生かし56歳で独立、SEの適性検査を開発

岩崎 滋(80歳) ヒューマンマヤ 取締役

ヒューマンマヤ取締役。会社員時代にSEの適性検査を開発。1994年、事業撤退を機に商品を買い取り起業
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 「85歳まで仕事を続けたい」。2018年1月に傘寿を迎えた岩崎氏は意欲を見せる。80代の今も現役。IT業界で活動を続ける。

 岩崎氏は1994年に採用支援のヒューマンマヤを設立。SE向け適性検査「新海嶺」を販売している。前職で自ら開発したもので、図形パターンの一致を見つける問題などを解かせて、受験者の特性を知る手がかりを得る。

 人事部門の手助け部隊─。岩崎氏は自身の役割をこう表現する。抱える顧客はおよそ100社。SE向けに加えて、事務職向けの適性検査も提供している。「採用Webサイトの良し悪しを担当者にアドバイスすることもある」(岩崎氏)。企業の悩みに寄り添いながら適性検査を勧める。そんな営業スタイルが持ち味だ。

SE、情シスマネジャーを経験

 岩崎氏が社会人生活を始めたのは55年前の1963年のこと。富士製鉄で15年ほど品質管理のエンジニアを担当した。「この時期に仕事で培った統計手法が現在の適性検査に生きている」と岩崎氏は振り返る。富士製鉄はその後八幡製鉄と合併して新日本製鉄(現新日鉄住金)となる。

 1978年に情報システム部門に異動してエンジニアからマネジャーとなり、鉄鋼製品の原価管理システムなどを手掛けた。「鉄鋼製品は中間製品が多いのが特徴。品質管理の経験が経理部門との調整で役立った」(岩崎氏)。

 転機は50歳の時に訪れた。得意の統計スキルを生かした仕事に就きたいと強く思うようになり、教育事業を手掛ける子会社に転籍した。ここで開発した適性検査が現在の生業につながる。事業は当初、順調だったが結果的に事業整理のため撤退が決まる。岩崎氏は顧客を引き継ぐ形で同事業を買い取ることを決意。56歳で起業した。

 岩崎氏は適性検査の更新を続けている。2014年には経済産業省が定義する「社会人基礎力」を測れるようにした。最近では「退職しそうな人を見分ける仕組みに需要がある」(岩崎氏)とみて開発に努める。

適性検査の冊子(左)、趣味で出版した料理のレシピ本(右)
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 手掛けるのは仕事だけではない。妻の薦めで料理教室に通い、料理の腕を磨く。レシピ集を執筆するほか、月に1回の料理教室を主幸することもある。岩崎氏は「多くのシニア男性に来て欲しい」と笑う。

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