2020年が幕を開けた。デジタル技術の進化によって人々の生活や社会はどう変わるのか。企業はどんな対応をすべきか。商機はどこにあるのか。20の技術や市場・関心事を対象に、2020年の行方を大胆予測した。今回は東京オリンピック・パラリンピックを取り上げる。

 いよいよ東京オリンピック・パラリンピック(オリパラ)が2020年7月24日から9月6日まで開催される。合計で史上最多となる55競技878種目において、日本は50個近い金メダルを獲得するだろう。選手の活躍を後押しするのがITの力である。

 「史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会」。東京オリパラが大会ビジョンで掲げる姿だ。日本代表選手のパフォーマンスだけではなく、メダル級の日本発の技術もたくさん見られそうだ。

図 東京オリンピック・パラリンピックで進化が見込まれる技術
日本発イノベーションが続々(写真:Getty Images)
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1年半かけDB一元化

 「30個」。日本オリンピック委員会(JOC)が掲げる東京オリンピックにおける日本の金メダル獲得目標数である。2016年のリオデジャネイロ大会における日本の金メダルは12個だった。強気の目標設定と言える。

 一方、日本パラリンピック委員会(JPC)が掲げる東京パラリンピックでの金メダル獲得目標数は世界で「7位以内」だ。前回リオ大会で7位だったオランダは17個の金メダルを得た。

 一方、日本が獲得した金メダルはゼロ。こちらも相当高いハードルだ。ただ高い目標の達成に向け、ITが裏方として大きな役割を果たすことだろう。

 東京オリパラで優れた成績を収めるため、スポーツ庁はリオ大会直後の2016年10月に「競技力向上のための今後の支援方針」を打ち出した。目玉の1つが選手に関する各種データを一元管理し、トップアスリートが必要な情報を素早く参照できるシステムの構築と活用だった。

 日本のトップ選手の育成に取り組む国立スポーツ科学センター(JISS)は、選手の体組成や心肺機能、筋力といった身体データ、トレーニング、栄養評価、メディカルチェックなどの情報を一元管理し、選手やコーチ、スタッフなどが見られるようにしている。映像で選手の動きを記録・分析するデータベース(DB)もある。

 もともと別々に整備していたDBを1年半かけて一元化した。オリパラ強化指定選手の全員が利用できるという。異なる分野のデータを複合的に分析して、栄養士などの専門家がアドバイスし、選手のレベル向上を図っているところだ。

 リオ五輪では日本代表の銀と銅を合わせたメダル獲得数が41個と史上最多になり、日本中が沸いた。ただ4年前はそれほどIT活用が進んでいなかった。だが今回は違う。ITによる底上げ効果で金30個を上回り、空前のメダルラッシュが起こると予測する。

 メダルラッシュの熱狂は世界に広がる。2020年春に始まる5G(第5世代移動通信システム)サービスで大容量のデータを瞬時に送れるようになるからだ。2年前、2018年の平昌五輪では米インテルがオリンピックで初のVR(仮想現実)生中継を実現した。東京オリパラではさらに臨場感あふれるVR観戦が期待できる。

 2016年のリオ五輪閉会式において、日本は次回開催国としてAR(拡張現実)を多用したプレゼンテーションで世界をあっと言わせた。東京オリパラでは開閉会式といったセレモニーのみならず、試合を観戦しながらスコアや選手の動きなどがリアルタイム表示される形でもARが活用されそうだ。

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