企業がデジタル変革を急ぐなか、ITエンジニアのスキルは年収はどう変わったのか。これら恒例の質問に加え、今回はデジタル変革の取り組み具合を尋ねた。並行して経営者にもDXについて聞いたところ、思わぬ「溝」があると分かった。

 AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といったデジタル技術を使って、ビジネス構造を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の取り組みが盛んだ。DXの取り組みはビジネス構造の変革であるため、経営層が主導する必要がある。

 一方で、DXに取り組むには下準備として古い基幹系システムの刷新が欠かせない。ITエンジニアやアーキテクト、プロジェクトマネジャー(PM)などIT人材の活躍が今後さらに求められる。AIやIoTに関わる先端人材は2030年に55万人足りなくなると言われるなか、スキルアップやスキル転換は現場技術者にとって喫緊の課題だ。

 IT人材のスキルとキャリアを調査・研究するNPO法人「ITスキル研究フォーラム(iSRF)」は例年、エンジニアのスキルと意識を調べる「全国スキル調査」を実施している。2019年は同調査でIT人材1463人のスキルやDXへの取り組み状況を調べた。

 さらに新たな試みとして、企業の経営層と管理職を対象に「DX実態調査」も実施した。有効回答数は103だった。回答者の役職は部長クラスが53.4%(55人)で最も多く、経営者や取締役・役員クラスが22.4%(23人)で続いた(それぞれの調査概要は104ページ)。

 経営層と現場の両面からDXの取り組み実態を調べた本格的な調査は国内初とみられる。早速結果を見ていこう。

年収は4万円アップの554万円

 まずは全国スキル調査だ。調査ではIT人材の役割(ロール)を14種類定義した。そのうち「システムアーキテクト」「ソフトウェア開発スペシャリスト」など10種類はITSS(ITスキル標準)に基づいている。

 残る4種類のうちAIプロジェクトのPMを務める「AIプランナー」、分析や実装・開発を担う「AIアナリスト」「AIシステムエンジニア」の3つは前回(2018年)のAIスキル調査で追加したロールである。残る1つの「データサイエンティスト」は前々回(2017年)のIoTスキル調査で追加した。

 共通の質問を回答者に答えてもらい、14のロールに関するスキルレベルを4.9点満点で判定した。レベル1(1.0~1.9:最低限必要な基礎知識を持つ)とレベル2(2.0~2.9:指導の下で要求された作業を担当できる)はエントリーレベル、レベル3(3.0~3.9:要求された作業を全て独力で遂行できる)はミドルレベル、レベル4(4.0~4.9:自らのスキルを活用して独力で業務上の課題の発見と解決をリードする)はハイレベルの人材という意味だ。1.0未満を「未経験レベル」としている。

表 担当業務と役割別に見た、ITエンジニアのスキルレベルと年齢・年収
最も高いのは「IT戦略、システム企画」に携わる「 システムアーキテクト」の2.8
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 ロール別に見ると、平均スキルレベルが最も高いのは「ソフトウェア開発スペシャリスト」で1.9だった。「システムアーキテクト」が1.5、「情報セキュリティアーキテクト」と「運用スペシャリスト」が1.2で続く。この順序は前回と変わらない。「現在の職種」と掛け合わせると最もスキルが高いのは「IT戦略、システム企画」に携わる「システムアーキテクト」の2.8だった。

 全回答者の平均年収は554万円だった。調査方法や対象が異なるため直接の比較はできないが、前々回495万円、前回の550万円よりも高かった。IT人材全体が不足しているからだろう。

 全回答者の平均年齢は39.6歳。所属する業種はITサービス業が69.6%と最も多く、製造業が11.9%で続いた。

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