日経デジタルヘルスが厳選、2020年を占う医療関連の10大キーワードはこれだ(page 5)

2019/12/26 05:00
河合 基伸、高橋 厚妃=日経 xTECH/日経デジタルヘルス

9)PHR(Personal Health Record)

 個人の健康や医療に関連する情報を記録するPHRの活用に向けた議論が2020年に進みそうだ。厚生労働省は2019年9月11日に「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」の第1回を開催。「PHRについての目的や方向性を明確にした上で、自身の健康に関する情報について電子データ等の形での円滑な提供や適切な管理、効果的な利活用が可能となる環境を整備していくため、(省略)必要な検討を行う」とした。議論を重ねて2020年度の早期に「PHRの推進に向けた今後の方策について、一定の結論を得るとともに、工程表等を策定」する。

 実際にPHRの活用が進み始めている。神戸市はPHRシステム「MY CONDITION KOBE」の市民への提供を2019年4月に開始し、利用者を順調に増やしている。MY CONDITION KOBEは、神戸市が保有する健康診断(健診)結果などの「健康データ」と、スマートフォンを介して集積する歩数や食事などの「生活データ」を一括して管理できるのが特徴。データを基に「健康アドバイス」などのサービスを提供して、市民が楽しみながら健康になれるように促す。

 医療機関でもPHRの利用が進む。メディカルデータカードはPHRをクラウドに保管し、個人が閲覧できるシステムを構築している。医療機関向けのシステム「MeDaCa PRO」と、患者が利用するアプリ「MeDaCa」を活用して、患者がデジタル情報の検査結果を収集して保管できるようにした。15以上の医療機関(クリニック)がMeDaCa PROを利用しているという。

10)ヘルスケア・データサイエンティスト

 健康・医療・介護の分野で様々なデータの活用が進んでいる。これに合わせて、医療分野に精通したデータサイエンティストの育成が急務になっている。健康や医療のビッグデータを活用した次世代医療を実現するには、データを活用できる技術と、データ活用を統制する倫理を併せ持った人材が欠かせない。2020年は、複数の大学が人材育成に動き出す。

 京都大学では、2019年10月に「社会変革型データサイエンティスト教育プログラム」を開始した。受講者は「経営・社会変革」「医学・生命科学」「情報・データサイエンス」の各分野を横断的に学習する。これにより健康・医療に関する課題の抽出から解決に向けた企画立案、業界を超えた多様なプレーヤーとの協業を推進できる人材の育成を目指している。さらに2020年4月には大学院(修士課程)でのデータサイエンティス教育を開始する計画で、情報・医学両研究科と調整中だ。大学院での教育が始まれば、より多くの人材を輩出できるようになる。

 学部での教育に向けた準備も進んでいる。東京医科歯科大学は、医療分野のデータサイエンス専門家を養成する研究拠点「M&D(メディカル&デンタル)データ科学センター」を2020年4月に設置することを明らかにした。その後、2022年4月に「メディカルデータサイエンス学部」(仮称)の設置を目指す。センター長には、現在東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの宮野悟センター長が就任する。宮野氏は「メディカルデータを扱う人材養成の1つのモデルになる」と意気込みを語る。

 この他に慶応義塾大学とGEヘルスケア・ジャパンは、医療分野のデータサイエンティストの育成と研究促進を相互に支援し合う産学医工連携のプロジェクトを始動した。「AI×画像診断」「AI×メディカル」で世界をリードする人材の創出を目指す。

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