大学院を修了した2017年にデンマーク・コペンハーゲンで独立。その直後に、北欧で最もホットな若手を選ぶアートイベントに出展し、パビリオンの設計で最優秀賞に選ばれた。2019年末には、英国ロンドンに新たな拠点を設け、欧州やアジアでの仕事を狙う。まだ20代の注目すべき若手パートナーだ。

 ともに1991年生まれの高田一正氏と八木祐理子氏は2017年、デンマーク・コペンハーゲンにPAN-PROJECTS(パン・プロジェクツ)を共同で設立した。高田氏はデンマーク王立芸術アカデミー大学院、八木氏は京都工芸繊維大学の大学院をそれぞれ17年に修了して、すぐのことだ。

 八木氏はデンマークに興味を持ち、大学院1年のときにインターンシップで現地の設計事務所に勤務。帰国する直前に高田氏と知り合った。高田氏は、デンマーク王立芸術アカデミーの中心メンバーとして、「第6回LIXIL国際大学建築コンペ」で最優秀賞を受賞。組み立て式で移動可能な次世代サステナブル住宅を北海道に完成させている。

PAN-PROJECTSを共同主宰する高田一正氏(右手)と八木祐理子氏(写真:日経アーキテクチュア)
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 2人は独立後、「建築未満プロジェクト」と称し、都市内に設置するパビリオンをこれまで複数提案し、スポンサーを自ら探すことで実現してきた。「パビリオンならば、建築の許可申請はいらない。建築家のライセンスがなくてもいいので世界中で実現できる。30代までに経験をためて建築の設計に展開したい」と高田氏は言う。

 きっかけとなったのが17年9月に3日間、コペンハーゲンで開催された北欧最大のアートイベント「CHART ART FAIR(チャート・アート・フェア)」だ。パビリオンの設計で最優秀賞に輝いた。八木氏は、「大学院を終えてすぐデンマークに渡り、10日後に出した案が受賞して、良い流れができた」と振り返る。

「PAPER PAVILION(ペーパーパビリオン)」。コペンハーゲンで2017年9月に開催された北欧最大のアートイベント「CHART ART FAIR」に出展し、最優秀賞になった(写真:David Hugo Cabo)
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 その都市で使用された紙を表面に用いることで、3日間だけ耐え得る「PAPER PAVILION(ペーパーパビリオン)」を出展した。新たなサステナブルデザインの在り方を提案するものだ。主となる構造体は移築できるように設計して、移動した先の都市の紙で表面を模様替えする。使用した紙は古紙回収によってリサイクルする仕組みだ。

 イベント終了後、コペンハーゲンの「Kunsthal Charlottenborg Museum(クンストハル・シャルロッテンボルグ美術館)」がコレクションとして購入し、現在はレセプション(受付)として使用している。

PAPER PAVILIONは、「Kunsthal Charlottenborg Museum(クンストハル・シャルロッテンボルグ美術館)」のレセプション(受付)に利用されている(写真:Yuta Sawamura)
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