センサーや生体反応を使って五感を数値として表す技術が確立しつつある。人が心地良いと感じているときのセンサーや生体反応の数値も明らかになってきた。どんな刺激に対して心地良さを感じているかが分かると、人に快感をもたらす要因を見つけ出せる。見た目の心地よ良さやおいしさ、触り心地の良さを実現した製品を開発したり、消費者に特徴をアピールしたりする難易度がぐっと下がる。

 こうした五感のデータを駆使して心地良さを探る技術、「快感テック」が普及し始めている。先進事例としてここでは、アサヒビールの取り組みを紹介する。

 アサヒビールは缶チューハイ「アサヒもぎたて」のリニューアルで快感テックを視覚で活用し、消費者が魅力的に感じる”魔性”の缶デザインを実現した。アサヒビールの宮广(みやま)朋美マーケティング本部マーケティング第二部(RTD・焼酎)副課長は「リニューアル後の1カ月間で購入者数が29%増えた」と破顔する。

アサヒビールの缶チューハイ「アサヒもぎたて」
(写真:スタジオキャスパー)
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脳波を測定して缶デザインを決定

 アサヒビールがアサヒもぎたてをリニューアルしたのは2019年4月。利用した快感テックは脳波測定とアイトラッキング(視線の動きを測定する技術)だ。リニューアル後の新しい缶のデザインを決める際、視覚と感情を数値化してデザインの候補を絞り込んだ。

 宮广副課長は「消費者の8割は店頭で缶を見て商品を知る。手に取ってもらうには店頭で目立つ必要がある」と話す。ただし、単に目立つだけではだめ。消費者に嫌悪感を抱かせると購入してもらえない。心地良く感じる缶のデザインで、消費者の目を引く必要がある。

アサヒビールの宮广(みやま)朋美マーケティング本部マーケティング第二部(RTD・焼酎)副課長
(出所:アサヒグループホールディングス)
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 さらに「消費者の行動調査の結果、缶を見て購入を決めるまでの時間は2〜3秒と分かっていた」(宮广副課長)。消費者が缶を見た瞬間に、商品の魅力が伝わらなければならない。

 アサヒビールはリニューアルに当たり、先行するサントリースピリッツの「-196℃ ストロングゼロ」や、キリンビールの「氷結」への対抗策として、鮮度と果実感をコンセプトに決めた。脳波測定とアイトラッキングを採用したのは、心地良く瞬時に目を引く缶のデザインになったか、リニューアルのコンセプトをアピールできたかを判断するためだ。

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