ホテルや飲食店では当たり前のWeb予約を賃貸住宅の内見に導入した部屋探しサイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」。開発したのは不動産テック企業のイタンジ(東京・港)だ。同社代表取締役の野口真平氏は、「掲載するなら、空室の物件だけにしろよ」と入居希望者を怒らせるのが今の不動産仲介の問題点と指摘する。原因は、他の業界では当たり前の空室状況の管理ができていないこと。不動産テックを活用し、こうした問題を解決したOHEYAGOについて、野口氏にインタビューした。

イタンジ代表取締役の野口真平氏(写真:都築 雅人)
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賃貸業務の大きなネック「空室確認」をなくす

部屋探しサイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」(資料:イタンジ)
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2019年9月にイタンジが開設したOHEYAGOの特徴は、物件内見のネット予約ができることです。なぜ、このようなサービスを開発したのでしょうか。

 今の賃貸不動産業界は、入居希望者に対して良い体験を提供できていません。私が賃貸住宅の仲介業務をやっていた頃、しばしば入居希望者を怒らせていました。不動産情報サイトで検索した物件について「空いていますか?」と聞かれて、「空いていません」と答えると「え? なんで?」と突っ込まれます。入居希望者にしてみれば「掲載するなら、空室の物件だけにしろよ」と当たり前のことを言っていますが、それができていないのが不動産仲介の現場です。

確かに、不動産業界の常識は、一般の人にとっては非常識かもしれませんね。賃貸住宅に携わる不動産会社には、物件のオーナーから管理を依頼される「管理会社」と、入居者を見つける「仲介会社」があることも、一般の人にはあまり知られていません。入居希望者の問い合わせを受けた仲介会社が、管理会社に空室かどうかを問い合わせているから「空いていません」ということがあるわけですが、分かりにくい業界ですよね。現状の問題点をもう少し解説していただけますか。

 既存の不動産情報サイトに掲載されている情報は1次情報ではなく、不動産会社だけが閲覧できる「REINS」(レインズ:国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営)などの業者間データベース上にある物件情報からの転載になります。空室が出ると管理会社がREINSに物件を登録し、仲介会社がそこから自社で入居者を集められそうな物件をピックアップし、自社のWebサイトや不動産情報サイトに掲載するという方法です。

 業者間データベースに集まる情報は、管理会社が更新しますが、リアルタイムに更新されているわけではありません。また、管理会社が情報を「成約済み」と更新しても、不動産情報サイトの情報は仲介会社が更新するまで「空室」のままです。こうしたタイムラグのあるシステムのため、入居希望者が内見を希望しても、仲介会社は即答できず、空室確認が必要なのです。

 一方、OHEYAGOの掲載データは、管理会社が持つ1次情報を使用しています。不動産情報サイトとの違いがここにあります。

空室確認のためだけに時間と手間をかけるのでは、入居希望者だけでなく、仲介会社にとっても非効率な工程かと思います。

 仲介会社である町場の不動産会社のスタッフは、日々こうした確認に忙殺されています。そもそも業者間や入居希望者とのやりとりが、電話とファクスであることなど、この業界には非生産的な業務手順や商慣習がまだまだ多く残されています。他業種に比べ、不動産業界は20年以上IT化が遅れているとも言われています。業界全体の生産性を高めていきたいと思い、不動産会社向けの業務効率化ソフトを開発したというのがこの業界へのそもそもの参入動機です。

従来の部屋探しは、電話やファクスでのやりとりが主流だった(資料:イタンジ)
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