ヘルスケアの「2025年問題」が病院に迫りつつある。日本の医療財政の悪化に伴う経営難と、少子化による人材不足だ。解決の処方箋は、健康や生活にかかわるデータの集積にある。

 ケガや病気の時だけではなく、健康なうちから病院と関わることが当たり前になる――。

 今、日本の病院が変わり始めている。主役はAI(人工知能)などの先端技術を駆使し、院内に蓄積した医療・健康データを積極的に活用する病院「スマートホスピタル」だ。従来の「治療」のみならず、地域住民の健康を維持する「予防」の拠点を目指す。

図 スマートホスピタルが目指す、外部サービスとのデータ連携
「病院」の役割が院外にも広がる(写真:Getty Images)
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 病院はこれまで電子カルテなど、患者の病気や治療に関する情報を病院内にのみ蓄積してきた。

 これに対して一部の病院は近年、電子カルテの内容と、心拍や血圧といったバイタルデータなどを患者と共有する取り組みを始めている。石川県七尾市にある恵寿総合病院は、2017年から検査や治療などの情報を患者本人と共有するサービスを始めた。現在までに約3000人が利用している。

 健康診断や人間ドックで蓄積したデータを活用し、予防に注力する病院も増えている。岡山県倉敷市の倉敷中央病院は健康診断の結果をAIで解析し、将来の健康状態を予測するシステムを構築した。

 検査データのみならず、個人の趣味や嗜好など日常生活に関わるデータまで収集し始めた病院もある。東京都八王子市に拠点を置く北原病院グループだ。医療や健康に関わるデータと合わせて活用することで、病気の発症を遅らせ、健康を維持できるよう促す仕組みを構築している。

 健康管理や疾患予防に注力する病院向けにテクノロジーを提供する企業も目立ってきた。Welby(ウェルビー)やメディカルデータカード、メディカル・データ・ビジョンなどのベンチャー企業だ。これらの企業は患者が本人の医療情報や健康情報をアプリ内で参照できるようにする仕組みを提供している。他にも最近はNECなどIT大手がAI技術を応用して将来の健康状態のリスクを予想するアルゴリズムを構築するなどしている。

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