「クラウドは、今まで一部の人にしか使えなかった高価な技術をより多くの人が使えるようにしてきた。こうした“民主化”が映像配信でも起こり得る。誰でも、いつでも、どこでも映像配信ができる世界の実現を目指す」(アマゾン ウェブ サービス ジャパン 事業開発本部 統括本部長の安田俊彦氏)

 これまで数々のビジネス変革を起こしてきた米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が、成長著しい映像配信の世界でも“エポックメイキング”な取り組みをしている。 2019年9月14日~10月15日に開催された「FIVB ワールドカップバレーボール2019(W杯バレー)」で、試合中継を担ったフジテレビジョン(フジテレビ)とともに、世界初とも言えるサービスを実現したのだ。「超低遅延ライブ配信」である。

 テレビのライブ放送に合わせて、コート全体を映す天井カメラの映像や、特定の人気選手を常に追いかけるカメラの映像を視聴者のスマートフォン(スマホ)やパソコンにインターネット経由で同時に配信した。視聴者はテレビ放送を見ながら、スマホなどでテレビとは別アングルの映像を楽しめるという、新しい視聴体験を提供した。

 一般に映像配信は数十秒の遅延があるのが“常識”だ。これでは、放送と配信の映像を同時に見る今回のサービスは成立しない。そこで超低遅延ライブ配信では、日本の地上デジタル放送(地デジ)と同じ2~3秒の遅延で配信できる新技術「CMAF(Common Media Application Format:シーマフ)」を採用した。CMAFはインターネットで汎用の通信プロトコルであるHTTP(HyperText Transfer Protocol)を利用する映像配信のフォーマット規格で、CMAFが有する超低遅延(ULL:Ultra Low Latency)モードに対応することで2~3秒の遅延時間を実現する。

 今回の取り組みが画期的なのは、CMAFが2018年に国際標準化されたばかりの新しい技術で、しかもそれを数万人という大規模な視聴者を対象に提供したことだ。フジテレビによると、1試合当たり最大で5万人以上が視聴したという。「CMAF ULLを使った大規模配信はAWSでも初めてだ」(安田氏)。

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