再生映像がすぐに途切れたり、アクセスが集中してサーバーがダウンしたり……。テレビで放送される大規模イベントでは使えない。そんな風に見られていた「映像配信」が、急速な進化を遂げている。最近では、地上デジタル放送と同等の遅延時間を実現する技術が登場したり、同時アクセス数でも最高で1000万人以上の規模にも対応できるようになってきた。放送では難しい、視聴データを活用した新ビジネスの創出や資金力に乏しいベンチャー企業がネットの“放送局”になったりするなど、未来は確実にここにある。映像配信技術の最前線を追った。
誰でもネットの“放送局”
内田 泰=日経 xTECH、松元 則雄=日経 xTECH/日経エレクトロニクス

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中身はクアルコム、超低遅延の映像配信を“破格”で実現した米企業の設計力
「これは先駆的な製品だ」(フジテレビジョン 技術局 技術開発部 副部長の伊藤正史氏)。サイズが38.1mm×127mm×107.5mmと“小さいボックス”が、テレビ局の映像配信関係者などを驚かせている。
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アマゾンの次なる挑戦、「誰でもいつでもどこでもライブ映像配信」
「クラウドは、今まで一部の人にしか使えなかった高価な技術をより多くの人が使えるようにしてきた。同じことが映像配信でも起こり得る。
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遅延もはや地デジ並み、「NHK同時配信、BBC電波返上」議論の裏に映像配信の急速進化
テレビ局が放送用電波を返上し、その帯域を携帯電話事業者などが活用する日が現実になる……。昨今の「英国放送協会(BBC)が放送用電波の返上を検討」という噂や、NHKによるネットでの常時同時配信を巡る議論は、そんな未来が“あり得る”ことを印象付けている。