限られた予算で5年に1度の点検と、健全度IIIの5年以内の補修をどうやりくりするか──。解決策の1つとして、多くの自治体が実践し始めたのが直営化だ。軽微な損傷を自ら補修したり、点検の1巡目で作成した調書を基に点検を内製化したりする自治体に学ぶ。

 職員による直営施工で橋梁補修「DIY」を実践している熊本県玉名市。国による2019年度の第3回インフラメンテナンス大賞で、国土交通省の優秀賞に輝いた。

 取り組みを先導しているのが、16年4月に建設部土木課橋梁メンテナンス係に異動してきた木下義昭係長だ(写真1)。異動後すぐに熊本地震が発生。復旧や復興で自治体への支援が乏しい現状を目の当たりにしながら、「地方が自立して橋のメンテナンスサイクルを回す対策が重要だ」と肌身に感じたことが、取り組みを加速させる。

写真1■ 熊本県玉名市が管理する道路橋の前にいるのは、建設部土木課橋梁メンテナンス係の木下義昭係長。同市には、用排水路をまたぐ橋が多い(写真:日経コンストラクション)
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 15年度末に同市の道路橋の点検完了率が2%だったのに対して、3年後には100%。加えて、判定区分III以上に対する修繕着手率も100%を達成した(図1)。特筆すべきは措置完了率で、健全度IIIについては80%に上る。

図1■ 健全度III以上の修繕着手率は100%
18年度末の橋梁点検数は833(資料:玉名市)
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 玉名市が進めるメンテナンスは、2つに大別できる。1つがソフト対策の橋梁トリアージだ。第三者被害の有無や防災上の重要性、交通量、迂回路の有無などに応じて橋梁を5つにグループ化。各グループの橋をさらに健全度で4段階に分けて、優先順位の高い順に調査・委託・工事に要する予算を配分した。

 ただし、これだけでは優先順位の低い橋の対応は遅れてしまう。「管理者として、優先順位が低い橋の劣化を無視するわけにはいかない」(木下係長)。そこで考えたのが、もう1つのハード対策である「橋梁補修DIY」だ。

 同市では、橋長が5m未満かつ、単径間の鉄筋コンクリート(RC)橋が約7割を占める。桁下が低く、作業しやすい橋が多いことも幸いした。これまでの実績から、主な補修方法はひび割れ注入と断面修復のほぼ2択に絞られると分かり、「インハウスによる直営施工が可能」と判断した(写真2)。

写真2■ 2019年に完成した補修材料の保管用倉庫(写真:玉名市)
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