点検はほぼ100%終わったと思われがちだ。しかし、実はまだ未点検の橋が市町村には存在する。「里道橋」だ。法定外公共物ではあるものの、中には生活道路として多くの人や車の通行に役立っている橋もある。いざ問題が起こった場合には、道路橋の管理部署に対応が求められる可能性が高い。点検の効率化についての悩みも尽きない。

 2014年の改正道路法施行規則の施行に伴って義務化された、5年に1度の近接目視点検。適用範囲は、道路法で規定する道路における橋長2m以上の橋などだ。それ以外の橋には基本的に点検や診断の義務はない。しかし、中には多くの人が利用しており、自治体にとっても無視できない橋がある。

 大阪府枚方市では17年に、道路法に規定されていない橋で損傷が発覚。応急的に仮設橋へ架け替える事態を招いた。

 問題となった橋は橋長が約8m、有効幅員が4mだ。橋梁の構造は、横桁がない特殊な形式をしている(図1)。I形鋼の主桁とデッキプレートは、溶接やアンカーで結合されていない。損傷状況は鋼材全体が腐食。層状に剥離しており、主桁端部は特に減肉していた。ウエブの厚みは当初の半分以下で、孔食も確認できた。

図1■ 架け換えを英断した「里道橋」
(資料:近畿建設協会、災害科学研究所)
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 市から要請を受けた近畿建設協会と災害科学研究所社会基盤維持管理研究会は、現地調査を実施し、早期に通行規制して抜本的な対策を講じる必要があると提言。市は早々に通行止めにし、わずか1カ月後に応急橋を完成させた(写真1)。

写真1■ 通行止めからわずか1カ月で架け替えた仮設橋。現在もゴミ収集車や乗用車が通っている(写真:日経コンストラクション)
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職員が知らぬ橋が多数存在

 枚方市で架け替えの対象となった橋は、法律などの適用を受けない公共物のため、「法定外公共物」と呼ばれる。代表的な例として、道路法に基づかない里道と河川法に基づかない水路がある。

 法定外公共物の歴史は古い。多くは地域住民が共同で利用してきた道路や水路だった。それが明治時代の地租改正に伴って国有地となる。旧公図(土地の境界や建物の位置を確定するための地図)で里道は赤い色で引かれたために、またの名を「赤線」とも呼ぶ(図2)。

図2■ 公図で見る赤線
里道を赤色の線で強調した(資料:法務省法務局)
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