本記事は、日経エレクトロニクス2015年6月号の特集「電子の鼻が社会を変える」の第1部を改題・分割して再掲載したものです。社名や肩書きは執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚から成る「五感」の中でセンサーとしての開発が最も遅れていた嗅覚を、携帯端末に実装する動きが目立っている。感度の点でも分析能力の点でも性能が低い人間の鼻に代わって、人間が気づかなかった情報を大量に提供する。食品や薬物、火薬などのにおいの検知に加え、がんなど各種の病気診断にも役立てられそうだ。

 におい検知システムの社会的インパクトは非常に大きい(図3)。これまでほとんど利用できなかった情報が利用可能になるからだ。

図3 におい検知システムはさまざまな用途に広がる
におい検知システムで今後、実現するとみられる用途の例を示した。
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 視覚のイメージセンサーでは、人間の目の機能を超えた性能の製品はまだ少ない。一方、におい検知システムは、その解釈機能が、人間の鼻にはない大きなメリットになる可能性が高い。感度の点でも、特定のにおいについては人間の鼻を超えて犬に迫る性能を備えそうだ。自分自身やその周囲の世界について、人間が気がついていなかった情報が大量に入ってくることになる。

 こうした点から、におい検知システム関連の市場は将来的には世界で年間100兆円規模になるという予測もある注3)

注3)内閣府の開発プロジェクト「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」の「進化を超える極微量物質の超迅速多項目センシングシステム」における予測。

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