ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)と対話アプリのLINEが2019年11月18日に経営統合で基本合意した。実は統合の決断を後押ししたのが、ソフトバンクとヤフーなどが出資するスマートフォン決済「PayPay」だった。

 ソフトバンクグループが総力を結集してPayPayを急拡大させ始めたことで、LINE側で将来の不透明感が強まった構図だ。ZHDとLINEの経営統合でスマホ決済分野で巨大連合が生まれるかにみえるが、スムーズに事が進むかは不透明だ。

PayPayの重量級還元キャンペーン、LINEを圧迫

 国内のスマホ決済を巡る競争が激化している。通信会社やネット企業が同市場に相次いで参入し、大型の還元キャンペーンを繰り返すなど消耗戦の様相を呈している。

 利用者への還元競争に火をつけたのがPayPayだった。2018年10月のサービス開始から100億円還元キャンペーンなどを繰り出し、利用者を引き付けてきた。

PayPayの100億円還元キャンペーン
(2018年11月22日撮影)
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 開始1年1カ月後の2019年11月には登録利用者数が2000万人を、PayPayが使える加盟店数が170万カ所を超えた。累計決済回数は3億回を突破。2019年5月にPayPay運営会社の460億円の増資をソフトバンクグループが引き受け、当面の資金面の手当ても済ませた。

 既存のスマホ決済はPayPayの攻勢に押されている。LINEの「LINE Pay」もそうだ。

 対話アプリでの存在感を生かし、LINE Payの国内登録利用者数は3690万人で、本人確認を済ませた利用者は500万人を超えているという。利用者数で見ればLINE Payのほうが上だが、還元合戦の過熱は徐々にLINEの経営体力を奪った。

 同社が2019年10月30日に発表した2019年1~9月期の連結営業利益(国際会計基準)は前年同期の67億円の黒字から一転、275億円の赤字に落ち込んだ。立て直しに向けて、利用者還元などのマーケティング費用を抑えて、投資効率を重視する姿勢を明らかにしていた。

300億円還元をうたうLINE Payのキャンペーンページ
(2019年5月16日撮影)
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 LINEの決算発表から3週間足らずで明らかになったのが、ZHDとの経営統合だ。LINEの出沢剛社長は2019年11月18日の統合発表記者会見で、スマホ決済の赤字が経営統合の判断に影響したかどうかを問われ、「パーツの1つとしてはあるが、それがトリガーではない」と語り、明確には否定しなかった。

 ソフトバンク幹部も明言は避けたものの、関係が「ないとは言い切れない」と述べた。

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