ヤフーを傘下に抱えるZホールディングス(HD)とLINEが経営統合を検討していることが明らかになった。両社のサービスを合わせると、利用者数は1億人規模になり、日本に巨大なプラットフォーマーが誕生する。「GAFA」をはじめとした海外の巨人と伍(ご)していくための足掛かりを得る一方で、主導権争いの勃発で統合効果が限定的となる恐れもある。

 ZHDとLINEは日本国内のインターネット企業で屈指の存在だ。ZHDの各種サービスに月1回以上ログインするユーザーID数は5000万超。LINEの月間アクティブユーザー数は国内だけで8200万人に達し、台湾やタイ、インドネシアを合わせると1億6000万人を超える規模だ。

ZホールディングスとLINE、楽天の経営状況ならびに主なサービス
Zホールディングス
(旧ヤフー)
LINE楽天
売上高
(前期比)
9547億円(6.4%増)2071億円(24.0%増)1兆1014億円(16.6%増)
営業利益
(前期比)
1405億円(24.4%減)161億円(35.8%減)1704億円(14.1%増)
ユーザー規模月間ログイン
ユーザーID数
5049万ID
国内の月間アクティブ
ユーザー数
8200万人
国内の楽天会員数
1億以上
EC・ヤフーショッピング
・PayPayモール
・アスクル
・ZOZO
・一休
・ヤフオク!
・PayPayフリマ
・LINEショッピング
・ショッピングGO
・楽天市場
・楽天トラベル
・ラクマ
スマホ決済・PayPay・LINEペイ・楽天ペイ
共通ポイント・Tポイント・楽天スーパーポイント
SNS・LINE・Viber
携帯キャリア・ワイモバイル・LINEモバイル・楽天モバイル
金融・ジャパンネット銀行
・ワイジェイカード
・ワイジェイFX
・LINE新銀行
(2020年度開業予定)
・LINE証券
・LINEほけん
・楽天銀行
・楽天証券
・楽天生命
・楽天損保
・楽天カード
メディア・ヤフーニュース
・スポーツナビ
・LINEニュース
動画配信・GYAO!・LINEライブ・Rakuten TV
・Rakuten LIVE
注:売上高と営業利益はZホールディングスが2019年3月期、LINEと楽天が2018年12月期。いずれも国際会計基準

両社とも「スーパーアプリ」を目指すが……

 両社は豊富な顧客基盤を生かし、EC(電子商取引)や決済、金融、タクシー配車などあらゆるサービスの入り口となる「スーパーアプリ」の提供を目指している。中国や東南アジアなどではスーパーアプリが生まれているが、日本国内でその地位を確立したアプリはまだ見当たらない。

 ZHDがスーパーアプリの候補として期待をかけるのが、スマホ決済の「PayPay」だ。ZHDの4割超の株式を持つソフトバンクがグループの総力を結集し、PayPayの勢力拡大にまい進している。

ソフトバンクは2019年11月開催の決算説明会で、PayPayを「スーパーアプリ」に育てていくとした
(出所:ソフトバンク)
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 ソフトバンクの戦略は明快だ。宮内謙社長兼CEO(最高経営責任者)はスマホ決済で勝ち抜く戦略を問われ、「金をつぎ込むだけの簡単な話だ。絶対に勝つ」と言い切る。2019年5月にはPayPay運営会社による460億円の増資をソフトバンクグループ(ソフトバンクG)が引き受け、当面の資金手当てを済ませた。

 スマホ決済アプリからスーパーアプリへの転換に向け、さらなる手も打っている。1つが、ソフトバンクGや10兆円ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の出資先が手掛けるサービスとの連携。もう1つが新サービスの投入で、その筆頭格が2019年10月に始めたECの「PayPayモール」と「PayPayフリマ」だ。

 かたやLINEも主力の対話アプリをスーパーアプリに育てる戦略である。対話アプリを入り口に、メディアや金融など多様なサービスを展開できる体制を整えようとしている。みずほフィナンシャルグループと組み、2020年度中に新銀行を開業する準備も進める。

 両社ともスーパーアプリの実現に向け、これまで大量の資金と人材をつぎ込んできた。それだけに経営統合後のサービス重複を解消し、効果を最大限に引き出すのは容易ではない。サービスの整理が中途半端にとどまれば、日本国内だけでなく海外で飛躍するという構想は絵に描いた餅に終わりかねない。

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