※本記事は、『日経エレクトロニクス』2019年1月号に掲載された記事を再構成・転載したものです。記事中の肩書きや情報は掲載当時のものです。

 KDDIが2018年9月5日に新設した「KDDI DIGITAL GATE」は、5G(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)の新規サービスを創出するための拠点である(図1)。日本では2020年に商用化(プレサービスは2019年)が予定されている5Gや、これまでにない事業モデルを可能にするIoTを活用したいという企業は多い。

図1 顧客との共創で新規サービスを創出
5GやIoTのサービス開発に向けた議論および試作の場となる。(写真:新関雅士)
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 とはいえ、ほとんどの企業は5GやIoTに取り組む必要性は感じていても、活用の具体的なイメージを描けていない。一方で、KDDIも5GやIoTの「キラーアプリケーション」を確立できているわけではない。そこでKDDIは、そのような企業に対して単に通信回線を提供するだけではなく、一緒に5GやIoTのサービスを開発しようとしているのだ。

 サービス開発には、デザイン思考やアジャイル開発を用いる(図2)。デザイン思考は、主にエンドユーザーの体験を分析することで問題解決策を発見する手法。アジャイル開発は、短い開発サイクルを何度も繰り返すことによって成果物を少しずつ改善していく手法で、初期段階では成果物が明確ではないものの開発に向く。

図2 デザイン思考とアジャイル開発を活用
デザイン思考とアジャイル開発を活用することで、短期間でのサービス開発を目指す。(KDDIの資料を基に本誌が作成)
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 KDDI DIGITAL GATEでは、これらの手法を活用することで短期間でのサービス開発を目指している。なぜなら、5GやIoTのような動きの速い分野では、サービス開発に時間をかけすぎると、競合企業に先を越されたり、サービス自体が陳腐化したりするリスクがあるからだ。KDDI DIGITAL GATEのセンター長を務める山根隆行氏(KDDI 経営戦略本部)は、「たとえ完成度があまり高くなくても、まずは市場に出してみて、反応を見ながら改善していくことが重要」と指摘する。

広く顧客にも提供

 デザイン思考やアジャイル開発によるサービス開発は、KDDIが自ら実践してきたことでもある。特に、アジャイル開発は5年前から取り組んでいる。当初は山根氏を含む5人のメンバーで始めたが、現在は約200人に増えており、同社にアジャイル開発センターという専門の部署が創設されるぐらいまで重要な手法と位置付けられるようになった。

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