※本記事は、『日経エレクトロニクス』2019年1月号に掲載された記事を再構成・転載したものです。記事中の肩書きや情報は掲載当時のものです。

 2018年12月3日に東京の有明から汐留に移転・改装したパナソニックの研究開発施設「Panasonic Laboratory Tokyo(パナソニックラボラトリー東京、PLT)」は、2つのエリアで構成されている注1)。議論や執務のための「オフィス」エリアと、アイデアを具現化する「工房」エリアだ(図1図2)。特に工房エリアは汐留への移転に伴って新設した。

図1 オフィスエリアでアイデアを創出
共創のための空間と集中のための空間を両立させることで、アイデアの創出を促している。(パナソニックの資料を基に本誌が作成、写真は栗原克己)
[画像のクリックで拡大表示]
図2 工房エリアでアイデアを具現化
この世にないものを見立てるというコンセプトの「Mitate HUB」を中心に、多様なテーマの研究室が配置されている。お互いにやっていることが見えるようにすることで、社内外の共創を促す狙いもある。(図:パナソニック)
[画像のクリックで拡大表示]
注1)ちなみにパナソニックには、PLTに似ている共創型の施設として、大阪・門真の「Wonder LAB Osaka」(ワンダーラボ・大阪、WLO)と、福岡の「Panasonic Laboratory Fukuoka」(パナソニックラボラトリー福岡、PLF)もあるが、研究開発機能を持つのはPLTだけである。

 PLTは、2016年に有明のショールーム施設「パナソニックセンター東京」に併設された。実はこのときから社外との連携が狙いだったが、思うように連携が進まなかった。顧客やパートナー企業にとって、有明は遠かったのだ。近隣に東京ビッグサイトがあることから、展示会の“ついで”にPLTにも立ち寄ってもらおうと考えていたが、そもそも多くの人はそんな頻繁に展示会に行かない。「訪問した人からは高く評価されていたが、足しげく通ってもらうまでには至らなかった」(同社 イノベーション戦略室 PLT 所長の井上あきの氏)。その反省を生かして選んだのが、より都心に近く同社の東京本社もある汐留というわけだ。

共創と集中を両立

 オフィスエリアは、共創のための空間と個人が集中する空間の両立を図った。入り口から近い順に、知的生産活動に向けてストレスを解消するための「Ideation Lounge」、多様な人々が自由に議論できる「Launch Hub」、フリーアドレス制の執務スペースである「Work Space」、そして静かに思考を深める「Deep Think Room」と配置されており、手前側が共創のための空間、奥側が集中のための空間という動線設計となっている。この他に、社外の人と未来を洞察するオープンスペース「Kizashi Hub」もある注2)

注2)オフィスエリアの設計では、予防医学や行動科学の研究者である石川善樹氏の監修を受けた。同氏が監修したJINSの会員制オフィススペース「Think Lab(シンクラボ)」からも多くの知見を得たという。

 工房エリアは、この世にないものを見立てるというコンセプトの「Mitate HUB」が中心にあり、その周りを多様な個別テーマの研究室が取り囲む配置になっている。必要に応じて各研究室を隔てる仕切りも入れられるが、基本的にお互いのやっていることが見えるのが特徴だ。特にMitate HUBからは全体の様子が分かる。「未完成のものでも積極的に見せていこうという意図がある」(パナソニックの井上氏)注3)

注3)工房エリアは、ロフトワークと共同で設計した。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら