※本記事は、『日経エレクトロニクス』2019年1月号に掲載された記事を再構成・転載したものです。記事中の肩書きや情報は掲載当時のものです。
イノベーションは意図して起こせるものではないが、イノベーションを起こしやすい環境なら作れるはず──。そんな考えから、新たな研究開発拠点を設立する企業が増えている。その特徴は、AI(人工知能)や5G(第5世代移動通信システム)といった技術の可能性を最大限に引き出すべく、社外との連携を重視していることだ。
1つ生み出すだけでも大変な「イノベーション」。それを「増産」する─。そんな難題に挑む企業が増えている。パナソニックやKDDI、オムロンといった企業が相次いで、イノベーションの増産を目的とした研究開発拠点を新設しているのだ(図1)。
社外との連携で根拠を確立
パナソニックは2018年12月3日、先端技術の研究開発拠点「Panasonic Laboratory Tokyo(パナソニックラボラトリー東京、PLT)」を東京・汐留にある東京本社近くのオフィスビル内に開設した。PLTはもともと東京・有明の自社ショールーム施設「パナソニックセンター東京」に併設されていたが、AI(人工知能)やロボティクスなどで顧客やパートナー企業と連携しやすくするために、より都心に移転するとともに内部の空間設計を大幅に刷新した。
KDDIは同年9月5日、5G(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)の新規サービスを創出するための研究開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を東京・虎ノ門に開設した。クラウドコンピューティングやデータ分析などを専門とするパートナー企業も“入居”させており、顧客との議論で生まれたアイデアを素早く具現化できるのが特徴だ。
オムロンは、研究開発に特化した新会社「オムロン サイニックエックス(OSX)」を設立し、同年4月26日に本格始動させた注1)。OSXでは、社外有識者を技術顧問や研究員として招請し、AIやセンシングなどの研究開発を進める上での根拠となる「近未来デザイン」を確立する。場所は、東京大学などの研究機関や多くのAIベンチャーが居を構える東京・本郷を選んだ。
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