日経アーキテクチュアが設計事務所の主宰者を対象に実施した独自調査で、発注者や施工者との間にはトラブル以外にも問題があることが分かった。度重なる「設計変更」など、発注者の身勝手を嘆く主宰者は多い。施工現場では、施工管理のレベル低下や職人不足の影響で、監理業務の負担が増大している。

 発注者とのトラブルなどに関する悩みがあると回答した主宰者にその内容を聞くと、回答者の62%が「設計変更が多く、手間がかかる物件が増えた」を選んだ。実際に自由回答では、「指示された箇所を変更しても、また次の打ち合わせで追加変更が生じる」など、発注者に振り回されがちな現状に不満を感じている主宰者が目立った。

Q.発注者とのトラブルなどに関する悩みは?
設計変更による手間の増大を選んだ主宰者が最も多かった。「計画倒れ」を巡る設計料未回収のトラブルも多い。情報収集の手段が増えたことで、発注者の要望が多岐にわたる傾向があるようだ(資料:日経アーキテクチュア)
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 次に多いのが、「計画倒れで設計料を回収できない物件がある」で、56%が選んだ。「依頼者側の要求がまとまらず、一時休止した」「プランニングを頼みながらも、計画が実現しなければ、フィーの支払いはしなくてよいと、勝手にルールを決めている」など、発注者の身勝手を嘆く主宰者は多い。対策として、「知人や近所付き合いでの依頼は、計画倒れになりやすいので受注しないようにしている」という主宰者もいた。

 これらに続いて、「打ち合わせの時間が増えた」「成果物や期限で過度の要求が増えた」と、発注者対応に関する悩みが続く。インターネットなどでの情報収集が容易になったことも、発注者の要求をエスカレートさせているようだ。

 そうした対応に追われる一方で、36%が「設計料の未払いがある」を選んだ。「未払いで訴訟の準備を進めている」と打ち明ける主宰者も少なくない。対策として、「契約を複数回に分けて結ぶ」「どこまでが無料の範囲かを、事前に伝えるようにしている」という声もあった。

発注者とのトラブルなどに関する「その他自由回答」

■実施設計が終わっても、相手にはその感覚がなく、継続的な追加変更の揚げ句には計画中止に(建築設計、2~3人、関東、50代)
■施主のわがままが増えてきた。平気で設計を変更する(建築設計、1人、中部、70代)
■未払いのため、現在訴訟準備中(建築設計、2~3人、近畿、40代)
■設計監理費は3回に分けて回収しているが、最終金の段階でトラブルになり、回収できなかったことが1~2回程度あった(建築設計、1人、中部、50代)
■設計を単なる営業活動の一環とみている節が多い。どこまでが無料の範囲かを、事前に伝えておく(建築設計、1人、関東、70代)
■職人不足による工程の遅れが発注者とのトラブルにつながることが増えた。設計と着工の前に、工事が遅れる可能性が高いことを説明するようにしている(建築設計、2~3人、中部、40代)
※コメント後のカッコ内は、事務所種別、規模、所在地、主宰者の年代を表す

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