顧客の真意を正確につかめていなかった――。住宅のリフォームで、顧客のほとんどは家づくりのプロではない。「どこをどう変えたいか」「新しく何を取り入れたいか」といった様々な要望が先に立ち、リフォームを決意するに至ったきっかけや原因に関する説明は、後回しになりがちだ。

 リフォームを手掛けるプロは、まずはこうした「きっかけ」や「原因」を正確に見極めるところからスタートする必要がある。リフォームの本質的な目的をきちんと把握していないと、後から顧客の不満やクレームを招くこともある。具体的なクレーム事例をいくつか紹介する。

事例1
貼り替えたクロスに染みが生じてクレーム

 クロスの貼り替えの依頼を受け、工務店の営業兼現場監督であるAさんは、顧客Bさんの住まいを訪れていた。Bさんの住宅は築40年の木造戸建て。壁紙には痛みが目立ち、特に1階のリビングでは、天井と壁の取り合い付近に比較的目立つ範囲で染みも広がっていた。打ち合わせとプレゼンの結果、Aさんは無事にBさんと契約。リフォーム箇所はリビングのみだったので、工期3日で無事に仕上がった。

 工事終了から3カ月ほどたった初秋のある日、工務店のAさんに顧客のBさんから電話があった。「クロスにまた染みが出てきた。お宅の工事が悪い」というクレームだった。慌ててBさん宅に足を運んで確認すると、貼り替えたばかりのクロスに、以前よりは狭い範囲だが似たような染みが生じていた。Bさんによると、前の週に台風が通過し、それを境に染みが現われたという。

(イラスト:勝田 登司夫)
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 「雨漏りの染みだったのか…」と気づいた工務店のAさん。顧客Bさんの依頼内容は当初からクロスの貼り替えのみで、雨漏りに関する相談はなかった。雨漏りならば、クロスの染みは工事の良しあしとは関係ない。Aさんはそう説明しようとしたが、Bさんは激しいけんまくでまくし立てた。「もともと雨漏りの跡が残っていたのをなんとかしたくて、クロスの貼り替えを頼んだんだ。また染みができてしまっては、リフォームの意味がない。やり直してくれ」。

 Bさんに責められたAさんは激しく後悔。「既存の染みを見たときに、Bさんにもっと尋ねるべきだった…」。提案のアプローチを失敗したとAさんは悟った。

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