20代で現場代理人と監理技術者を兼務で任される――。大手の建設会社でこんな異例の経験をしたのが、西松建設の松岡史也氏(30歳)だ。

 松岡氏が神戸電鉄鈴蘭台の橋上駅舎化工事を担当していた2018年。神戸電鉄沿線では、西日本豪雨をはじめ相次ぐ大雨で斜面崩壊などが各所で発生した。松岡氏ら西松建設の現場スタッフは、そのたびに応急復旧に駆け付けた。

西松建設の松岡史也氏。1989年福岡県生まれ。2013年3月に宮崎大学大学院工学研究科土木環境工学専攻を修了後、同年4月に西松建設入社。道路トンネルを担当した後、15年8月から19年3月まで神戸電鉄の現場に配属。19年4月から北幹南福井出張所の工事主任として北陸新幹線の橋梁工事を手掛ける(写真:日経コンストラクション)
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 応急復旧で大きな役割を担ったのが松岡氏だ。自ら現場の先頭に立ち、協力会社との連携で迅速な運行再開にこぎ着けた。こうした経緯があり、西日本豪雨で被災した箇所の本復旧工事では、松岡氏が現場代理人兼監理技術者を務めることになった。

 当時、松岡氏は駅舎工事を担当する西松建設の鈴蘭台出張所に所属。一時的に駅舎工事を外れ、本復旧工事に専念した。ただし、本復旧工事を担当する元請け社員は松岡氏のみ。当時29歳だった松岡氏が1人で現場を切り盛りしなければならなかった。

 上司である鈴蘭台出張所の所長も、ほとんど手助けすることはなかった。「自分でやりなさいという感じ。それが逆に、信頼されていることだと思い、うれしかった」と松岡氏は振り返る。

西松建設が2018年に手掛けた神戸電鉄の災害復旧工事。西日本豪雨に続いて台風20号、21号と続けざまに被害が出た(資料:西松建設)
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 本復旧工事の前に、松岡氏は神戸電鉄で3カ所の応急復旧を手掛けた。最初は西日本豪雨の被災箇所を18年7月5日から7日にかけて復旧。2度目は8月24日の台風20号、3度目は9月4日の台風21号だ。西松建設社内でも、同世代でこれだけ災害復旧に関わった社員は珍しい。こうした災害対応の経験が、現場状況に即した判断力などを養う大きな糧となった。

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