20代で現場代理人と監理技術者を兼務で任される――。大手の建設会社でこんな異例の経験をしたのが、西松建設の松岡史也氏(30歳)だ。
松岡氏が神戸電鉄鈴蘭台の橋上駅舎化工事を担当していた2018年。神戸電鉄沿線では、西日本豪雨をはじめ相次ぐ大雨で斜面崩壊などが各所で発生した。松岡氏ら西松建設の現場スタッフは、そのたびに応急復旧に駆け付けた。
応急復旧で大きな役割を担ったのが松岡氏だ。自ら現場の先頭に立ち、協力会社との連携で迅速な運行再開にこぎ着けた。こうした経緯があり、西日本豪雨で被災した箇所の本復旧工事では、松岡氏が現場代理人兼監理技術者を務めることになった。
当時、松岡氏は駅舎工事を担当する西松建設の鈴蘭台出張所に所属。一時的に駅舎工事を外れ、本復旧工事に専念した。ただし、本復旧工事を担当する元請け社員は松岡氏のみ。当時29歳だった松岡氏が1人で現場を切り盛りしなければならなかった。
上司である鈴蘭台出張所の所長も、ほとんど手助けすることはなかった。「自分でやりなさいという感じ。それが逆に、信頼されていることだと思い、うれしかった」と松岡氏は振り返る。
本復旧工事の前に、松岡氏は神戸電鉄で3カ所の応急復旧を手掛けた。最初は西日本豪雨の被災箇所を18年7月5日から7日にかけて復旧。2度目は8月24日の台風20号、3度目は9月4日の台風21号だ。西松建設社内でも、同世代でこれだけ災害復旧に関わった社員は珍しい。こうした災害対応の経験が、現場状況に即した判断力などを養う大きな糧となった。
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