今回はPCの通信機能について、2020年はどうなりそうかを予測する。昨今は無線LAN(Wi-Fi)での接続がかなり一般的となってきた。そのWi-Fiは、今後2020年にかけて最新世代の普及が本格化する。また周辺機器との近距離通信で用いるBluetoothも、最新世代の普及が進む。

Wi-Fi 6が一気に普及段階へ

 今後、無線LANの最新規格「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」が一気に普及しそうだ。IEEE(米電気電子学会)での正式な標準化が2020年に予定されている。現在はドラフト仕様が出ている段階だが、2019年後半に入ってから「ドラフト準拠」をうたうルーターが急速に増加し、PCも登場し始めている。

 Wi-Fi 6は2.4GHz帯と5GHz帯に対応し、最大通信速度は9.6Gビット/秒に引き上げられている。複数あるアンテナを異なる複数の機器に割り当てるMU-MIMO(マルチユーザーMIMO)が双方向の通信に対応するなど、複数機器が同時に接続した時の実効性能が向上している。

 Wi-Fi 6搭載機が増え出しているのは米インテル(Intel)の影響が大きい。2019年4月にWi-Fi 6とBluetooth 5のコンボモジュール「インテル Wi-Fi 6 AX200」の出荷を発表。さらにインテルの第10世代Coreプロセッサー(Ice Lake、Comet Lake)では、チップセット部分にWi-Fi 6対応のベースバンドを統合しており、シンプルなRFモジュール(インテル Wi-Fi 6 AX201)の追加のみでWi-Fi 6を搭載できるようにしている。ゲーミングPCで採用例の多い無線LANモジュール「Killer Wi-Fi 6 AX1650」も、チップセットはインテル製だ。

 インテルはルーター向けのWi-Fi 6チップセット「Intel Home Wi-Fi Chipset WAV600」も出荷しており、普及を促進している。これを搭載した製品にエレコム「WRC-X3000GSA」があり、実勢価格は2万円弱となっている。

 このようにルーターも含めて普及の条件がそろってきており、今後2020年にかけて登場してくる中位クラス以上のノートPCの多くがWi-Fi 6に対応してくると予想される。

 なお「Wi-Fi 6」の表記は、業界団体のWi-Fi Allianceが2019年から導入した新表記体系に基づいている。「IEEE」からはじまる規格名はエンドユーザーにとって分かりにくいという配慮からだ。新表記体系では「Wi-Fi 6」より前の規格についても、IEEE 802.11acは「Wi-Fi 5」、IEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」で表記している。

新旧無線LAN規格の仕様比較
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Wi-Fi 6の利点を説明したスライド。複数機器が同時に接続した時の実効性能に強みがある
(撮影:鈴木雅暢)
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