「都市部と地方の収入格差は大きく広がることが多い。しかし中国では、その格差が逆に縮まっている。FinTechを活用しているからだ」。中国アリババグループの金融会社であるアント・フィナンシャル(Ant Financial)のダグラス・フィーギン国際ビジネスプレジデントは2019年10月27日(現地時間)、米ラスベガスで開催中のFinTechイベント「Money20/20」でこう強調した。

アント・フィナンシャル(Ant Financial)のダグラス・フィーギン国際ビジネスプレジデント
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 都市部と地方の収入格差が縮まる傾向は中国を含むアジアで顕著であり、背景にあるのはアント・フィナンシャルが普及を図ったデジタルウォレットだとフィーギン氏は指摘する。「自分たちの商品を地方でしか販売できなかった人たちが、デジタルウォレットとそこにつながる市場を通じて、商品を広く販売できるようになった」(フィーギン氏)。

 FinTechを活用するメリットは販路拡大だけではない。フィーギン氏は地方で衣料品を製造販売していた女性の例を挙げた。

 この女性が販売していた製品の質は高く、人気があったという。このため、製造機器を購入してビジネスを拡大しようと考え、いわゆる伝統的な銀行に融資を依頼した。しかし「実績も担保もなく、銀行には全く相手にされなかった」(フィーギン氏)。

 そこで彼女はFinTechの活用を決めた。アント・フィナンシャルの決済サービス「アリペイ(Alipay)」を導入したほか、アリババグループのEC(電子商取引)サイト「アリババ(Alibaba)」での販売を始めた。その結果、アント・フィナンシャルの融資サービスを受けられるようになった。アリペイに残った販売量や収益の履歴を担保にできたからだ。具体名は避けたが「我々の融資先の中でも最大手メーカーの1つに成長した」とフィーギン氏は話す。

融資の申し込みや結果の判明が早い「3-1-0レンディング」
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 融資の申し込みは簡単で、同社は「3-1-0レンディング」と呼んでいる。記入に「3分」、融資判断は取引履歴のスコアリングによって自動で進めるので、かかる時間はわずか「1秒」、人手は「0人」という意味だ。融資金額が7000ドル未満のローンが45%を占め、平均は1600ドル。フィーギン氏は「こうした融資は銀行や他の金融機関にはできない。中小企業に対し、大きな成長を可能にしている」と力を込めた。