「スーパーリーフ」――。日産自動車の社内で、こう呼ばれている試作車がある。

 ベース車両は、同社の電気自動車(EV)「リーフe+」。リーフe+は前輪側に1個の駆動用モーターを備えているが、スーパーリーフは後輪側にモーターを1個追加して4輪駆動(4WD)とした(図1)。システムの最高出力は227kWで、最大トルクは680N・mに達する。

図1 日産が報道関係者に公開した「スーパーリーフ」
量産EV「リーフe+」をベースに、後輪側にモーターを1個追加した。(撮影:日経Automotive)
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 高出力化によって加速性能は格段に向上したが、日産が“スーパー”と称しているゆえんは「速さ」にはない。スーパーリーフの本質は、「様々なシーンで安定した走行を実現するモーター制御技術」(同社企画・先行技術開発本部先行車両開発部担当部長の中島敏行氏)だ。

 2個のモーターを協調制御することによって生まれる、車両の“安心感”に大きな価値がある。日産はこのモーター制御技術を、2020年に実用化を始めるEV専用の新プラットフォーム(PF)に投入する計画だ。

試乗して分かったモーター制御の価値

 量産に先駆けて、日産は報道関係者向けにモーター制御の価値を体験させる機会を設けた。スーパーリーフを、2019年10月中旬に開催した先進技術説明会「ニッサンインテリジェントモビリティテクノロジーツアー」で披露したのである。

 日産の追浜工場にあるテストコース「グランドライブ」に用意されたスーパーリーフ(図2)。ステアリングホイールは日産の開発担当者が握り、筆者は後部座席に乗り込んだ。いくつかのシナリオを想定したパターンで走行した中で、特に4WDのモーター制御技術の恩恵を実感したのが減速時だった。

図2 日産追浜工場のグランドライブで試乗
(写真:日産)
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 日産の電動車両は、アクセルペダルを緩めるだけでクルマを減速させる「e-Pedal」を搭載する。アクセルペダルを解放するとモーターによる回生ブレーキで減速し、ワンペダル感覚で運転できる機能である。

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