岡山県の倉敷中央病院は、約80万人の地域住民の医療を支える中核病院。周囲の病院と連携してカルテ情報を共有するシステム「マイカルテ」を導入するなど、データ活用に積極的に動いている。健康診断のデータなどをAI(人工知能)で分析し、将来的な疾病リスクを提示するサービスも開始した。データ活用が進んだ将来の姿を倉敷中央病院の山形専院長に聞いた。

倉敷中央病院(撮影:日経 xTECH)
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AIなど最新技術の導入を積極的に進めています

 この2~3年で、AIやロボット、ゲノム、ITといった技術が一気に実用フェーズに入ってきました。私はそれぞれの頭文字から「ARGiT」と呼んでいます。特にAIの進歩は画像診断などの領域で目覚ましく、今後はさらに発展するでしょう。

 ただし病院に最新技術を導入しても、設備投資に見合うだけの報酬を得られないため、採算が合わなくなります。それでも我々は導入します。間もなく2台目となる手術支援ロボットを導入する計画です。

 なぜ最新技術を導入するのか。それは若い医師を集めて人材を確保するためです。例えば10年の経験が必要な手術も、ロボットがあれば3年でできるとすれば、若い医師は魅力に感じるでしょう。若い医師が成長できる環境を整えたいです。

 病院を取り巻く環境は厳しさを増しています。医療費の増大で将来の医療の姿は変わっていくでしょう。どれくらいの病院が存続しているか分かりません。そうなった場合でも地域の医療を支え続けるには、今から先行投資することが欠かせないのです。我々は20年後を見据えて動いています。

地域の医療を支えるために、どのような取り組みをしていますか

 まずは「マイカルテ」を導入しました。周囲の病院と連携してカルテ情報を共有するシステムです。周囲の病院の負担を増やさないように、患者の同意を我々がまとめて取得し、運営費用も我々が負担します。地域の大小の病院がカルテや検査データなどを共有して役割を分担すれば、地域で医療のエコシステムをつくることができます。現時点で22病院、15診療所と連携しています。

大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院の山形専院長(撮影:日経 xTECH)
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 データを格納するサーバーも用意しており、周囲の病院は安価に利用できます。カルテを共有して仲間づくりを進め、同じサーバーを利用することでデータを集めやすくなる。将来は電子カルテの共通化などにも取り組みたいと考えています。海外の電子カルテの動向も注目しています。

 今から仕掛けておかないと間に合わない。複数の大手企業がデータ連携に本気で取り組み始めれば、現在の電子カルテのシステムのように、病院ごとにばらばらのシステムが出来上がってしまいます。そうした事態は避けなければいけません。

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