トヨタ自動車は2019年10月16日、小型ハッチバックの新型「ヤリス」を2020年2月中旬に日本で発売すると発表した。ハイブリッド車(HEV)技術を改良し、燃費性能を現行比で2割以上と大きく高める。独走に近い小型HEV技術で、王者の意地を見せた。

 トヨタが小型HEV技術にこれほど力を注ぐのは、他社が猛追していることが大きい。筆頭がホンダだ。2019年内に全面改良する予定の「フィット」で、燃費・走り・コストの基本性能でトヨタのHEV技術を超えることを狙う。

 ヤリスは小型ハッチバック「ヴィッツ」の後継車。燃費はこれからだが、HEVのWLTCモード燃費で35km/L超に達しそうである。世界最高水準といえ、フィットの“ヤリス超え”をはばみたいトヨタの意地が透ける。排気量1.5Lの新しい直列3気筒ガソリンエンジンと大幅改良のハイブリッド機構に加えて、軽量化した新開発のプラットフォーム(PF)を採用した。

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「ヴィッツ」の名称を変えて、海外で使っていた「ヤリス」にした。(撮影:日経 xTECH)

 現行のヴィッツとフィットの燃費性能は、装備仕様が近い車種で比べるとほぼ同じ水準(従来のJC08モードで)。トヨタがヤリスで燃費性能を2割以上高められると、フィットを大きく上回りそうに思える。

 ただホンダも次期フィットで燃費性能を大きく高める方針である。例えば、ハイブリッド方式を現行の1モーターから燃費性能を高めやすい2モーターに変える。2モーターHEVの小型化にいち早く成功していたトヨタに、いよいよ追いつく。ホンダは2018年に発売した「インサイト」で、1.5Lガソリン機と2モーターハイブリッド機構「i-MMD」を採用した。その改良版をフィットに搭載する。

 ホンダの2モーターHEVの燃費性能は高い。インサイトの燃費は、車両質量が現行ヴィッツの1100kgに比べて2割以上重い1370kgになるにもかかわらず、JC08モードで現行ヴィッツの34.4km/Lとほとんど同じ34.2km/Lに達する。トヨタがヤリスで燃費性能を大きく高めたとしても、フィットを上回れるのか予断を許さない。

 一方、動力性能で現行ヴィッツはフィットに劣る。HEVシステム全体の最大出力は、フィットの101kWに対して3割小さい73kWにとどまる。トヨタは新型ヤリスの出力をまだ公表していないが、モーター出力を3割、エンジントルクを1割近く高めると明かしており、フィットの水準を狙うようだ。

 なおヤリスの販売価格の公表もこれから。ただしトヨタ副社長の吉田守孝氏は「価格は維持する」と強調しており、安全装備の充実分などを考慮するとHEVは200万円前後からだろう。

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