台風19号の影響で70棟以上が浸水した岩手県山田町の田の浜地区では、東日本大震災後に津波を防ぐために整備した緑地公園の堤防が被害を拡大した。住宅地の背後の山から流れてきた雨水や土砂をせき止め、排水の障害になったとみられる。

 津波という外水被害を防ぐ堤防が、雨水という内水被害を助長した可能性がある。町は浸水の経緯や堤防の排水状況などの調査を進めている。

住宅地の海側に隣接して整備した「津波防災緑地公園」。公園の堤防が山からの雨水や土砂をせき止め、70棟以上が浸水し、堤防の一部が決壊した。住宅地にたまった水を排出するため、重機で決壊部を拡張した。公園の整備には国の復興交付金を活用。工事費約2億6000万円のうち、町の負担は約3600万円。山田町では2019年10月13日午前1時ごろに、1時間当たり最大降水量が観測史上最高となる77.5mmを記録した。写真は同日午前11時20分ごろに撮影(写真:山田町)
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 田の浜地区は、震災で327棟が全壊や大規模半壊の被害を受け、死者や行方不明者が117人に上った。震災後、町は被害の大きかった海側の低地を災害危険区域に指定。住宅の高台移転を促した。跡地には、国の復興交付金を使って津波防災緑地公園を整備。2018年5月に工事を終えた。

 津波防災緑地公園は、県が海岸沿いに建設を進めている海抜(東京湾平均海面TP)12.8mの防潮堤と、震災で壊滅的な被害を免れた高台の既存住宅地との間にある。背後に山が迫る住宅地の海側の約2.8㏊に、約8万5000m3の盛り土を実施。海抜16m、延長約400mの堤防を築いた。

 堤防を緑化し、遊歩道や広場を整備。平時は公園として利用できるようにした。一方、津波襲来時には、県の防潮堤と合わせて多重防御の役割を果たすよう計画されている。

田の浜地区の復興まちづくり計画(2015年5月時点)の概要。山田町の資料に日経コンストラクションが一部加筆
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山田町が田の浜地区などで実施する復興交付金事業の計画(2018年12月時点)。緑色部分の約3.1㏊に津波防災緑地公園(約2.8㏊)と周辺道路を整備した(資料:山田町)
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