台風19号で3人の犠牲者を出した群馬県富岡市の土砂崩れは、土砂災害警戒区域に指定されない20度の緩い傾斜で発生したために予見が難しいことが、国土交通省などの調査で明らかになってきた。「災害の激甚化により、これまで被災するリスクが低かった緩い斜面でも土砂崩れが起こる可能性がある」と複数の専門家が警鐘を鳴らす。

土砂崩れの発生現場。10月16日午後2時ごろにドローンで撮影(写真:群馬県県土整備部砂防課)
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崩壊した2つの斜面の間に位置していた建物周辺の様子。2019年10月16日午前8時ごろ撮影(写真:若井明彦・群馬大学大学院教授)
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 群馬県によると、土砂崩れが起こったのは、10月12日の午後4時半ごろ。富岡市内匠(たくみ)の集落に面する東側の斜面が2カ所で崩れた。崩壊の幅はどちらも約20mで、深さは最大で3mだった。土砂崩れは途中で合流し、巻き込まれた住宅1棟が全壊、5棟が半壊。住民3人が死亡、5人が負傷した。

斜面に向かって左側の崩壊前後の地形。水平距離にして約20m分の斜面が崩れた(資料:若井明彦・群馬大学大学院教授)
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 土砂崩れが発生した斜面の傾きは、土砂災害防止法の土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊)の指定要件である30度に比べて緩い。10月15日に現地調査をした国交省国土技術政策総合研究所砂防研究室の山越隆雄室長は、「20度程度の緩い傾斜地で土砂崩れが起こる例は珍しい」と指摘する。

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