多摩川水系の平瀬川の氾濫によって浸水した川崎市高津区の住宅地。2019年10月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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 「多摩川の近くに暮らして40年ほどになるが、これほど怖い思いをしたのは初めてだ」。川崎市高津区に暮らす男性は、台風19号が上陸した2019年10月12日の夜を振り返る。

 同日の夕方には近くの中学校へと避難。日付が変わって暴風雨がやや落ち着いた13日の午前2時ごろに自宅に戻った。「帰り道は停電で真っ暗だった。それでも多摩川に合流する平瀬川から『ごうごう』という音がとどろいていた。増水している様子はよく分かった」。この男性はそう話す。

台風一過の多摩川。平瀬川の多摩川との合流地点付近の様子。10月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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多摩川水系である平瀬川の多摩川への合流地点付近。写真右手の住宅街にあった浸水区域からポンプアップして放水している様子。10月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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 19年9月9日に上陸し、千葉県を中心とする関東地方に大きな被害をもたらした台風15号の襲来から約1カ月。またしても大型の台風が首都圏を襲った。総務省消防庁が10月13日午後6時に発表した台風19号の被害状況によると、人的被害は全国で死者14人、行方不明者11人、負傷者は重傷24人、軽傷161人だった。同時点での発表では、家屋の被害は東京都と神奈川県に集中しており、住戸の一部損壊に加えて床上・床下浸水も多かった。

川崎市高津区久地の浸水した住宅地からポンプで泥水を組み上げる様子。周辺一帯は土地が低く水がたまりやすいという。10月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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 記者が川崎市高津区を取材した10月13日昼ごろは、多摩川の支流である平瀬川から浸水した水が引いておらず、ポンプによる排水作業が続いていた。同地区では溝口6丁目で浸水したマンションにおいて、1階住民の60代男性が死亡した。

 川崎市地図情報システムで公開されている「ガイドマップかわさき」による川崎市高津区の洪水浸水想定区域(多摩川水系)によると、同マンションが立つ位置は、浸水時の水深が5mから最大10mに達するエリアだった。周辺一帯は河川の氾濫時に標準的な木造家屋が流失や倒壊する危険性のある「家屋倒壊等氾濫想定区域」にも指定されている。

「ガイドマップかわさき」による川崎市高津区の洪水浸水想定区域(多摩川水系)。青い楕円で囲んだ部分が、顕著な浸水のあったエリア。浸水時の水深が5~10mに達するエリアもあるとハザードマップで警告していた(資料:川崎市)
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川崎市高津区に立つ浸水被害を受けたマンション。1階に住む60代男性が亡くなった。近隣住民は「浸水深は2m近くあった」と話す。10月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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 この浸水したマンションの近隣で金属加工業を営む男性は、「平瀬川の流れが、増水した多摩川に遮られて氾濫したのではないか」と推測する。浸水被害のひどかった高津区久地にある平瀬橋観測所では、10月12日午後3時過ぎに平瀬川で氾濫危険水位を超えた。周辺住民の多くは市の警報を受けて避難所に移ったという。同日午後10時ごろに平瀬橋観測所の近くを見回った男性は、「膝くらいまで水が達していた」と思い起こす。

川崎市高津区の泥水に漬かった住宅地。汚水が混ざっていて、臭気が漂う場所もあった。10月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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川崎市高津区の排水作業が終了した住宅地。浸水時は写真奥に見える乗用車の屋根が水没していたという。10月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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