「システム運用の現場は地味な仕事が多く、ともすれば漫然と日々の作業をこなすだけになりがちだ。だからこそ、若手社員1人ひとりに目的意識を持って仕事に取り組んでもらいたい。そう思って育成に当たっている」。こう話すのは、ITベンダーA社で現場マネジャーを務めるNさんである。

 A社はシステムの受託開発を主力とするITベンダーが子会社として設立したシステム運用サービス会社。スタッフ約40人の大半は20代~30代前半だ。

 A社の社長は「若いスタッフのやる気をどれだけ高められるかが、当社の浮沈のカギ」と考え、親会社から若手の指導役として最も熱心で、かつ経験も豊富だった人物を指名しA社に加えた。その人物こそNさんだった。

成長のサイクルを自覚させる

 そのNさんが考えた、若手育成の仕組みとは何か。それは一見どこにでもある「月報」だ。しかしNさんの手に掛かると、若手のやる気を引き出す魔法の月報になる。

 項目は、直近1カ月間の業務内容(作業)、生み出した成果物(成果)、新たに身に付けたこと(習得)の3つ。毎月末に全スタッフが実績と翌月の計画を記入し、メールでNさんに送る。

Nさんが指導のために若手社員とやり取りする月報
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 自ら記入する月報により「過去1カ月で何を習得し、前月に立てた計画をどれだけ実現できたか」「翌月はどんな成果を上げるのか、そのためにどんな作業を行うのか」といった計画・実行・検証のサイクルを、否が応でも本人に自覚させるわけだ。仕事に対する目的意識を継続的に喚起し続けるために考案した、若手育成の専用ツールである。