トヨタ自動車が得意とする改善は、生産性を確実に高める。その点で、改善は元祖「働き方改革」と言ってもよいだろう。滑稽なのは、日本政府を含めて生産性を声高に叫ぶ人ほど、生産性の本質について理解しているとは思えないケースが多いことだ。にもかかわらず、今、働き方改革やライフワークバランスといった言葉に日本国民が翻弄されているのではないか。

 トヨタ流マネジメントシステム(TMS)では生産性を3つに分け、それぞれを定義している。[1]労働生産性、[2]材料生産性、[3]設備生産性、である。これら3種類の生産性をきちんと使い分けて人づくりを行えば、非常に短期間でカルチャー(企業文化)が醸成できることをトヨタ自動車は理解している。

TMSにおける生産性
3種類の生産性に分けて生産性を確実に高めていく。(写真:日経 xTECH)
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トヨタは3ステップで生産性を高めていく

 問題は、日本企業の多くが生産性の追求の仕方を誤っていることだ。生産性を高めるには、改善を通じて人の意識を変え、本人が成長できたという実感を持たなければならない。これが人づくりの本質でもある。技術を覚えたというだけでは浅い教育に過ぎないのだ。だが、人の意識を変え、行動を変えることは難しく、そのためのプログラムも存在していない。意識の変え方も、変わった結果どうなるかが重要であり、共通の価値観と原理・原則に落とし込めないと意味がない。

 ところが、筆者自身も経験したことだが、日本企業の多くは、階層別教育やマネジメント教育を講義とワークショップを中心とした研修で実施するだけだ。これでは長年習慣化された悪い癖は抜けない。研修中はそれなりに演じてやり過ごせるかもしれないが、職場に戻ったら何事もなかったかのように研修前の状態に戻ってしまう。

 結論から先に言えば、トヨタ自動車では、まずは[1]の労働生産性でしっかりとした人の基盤をつくった上で、[2]の材料生産性と[3]の設備生産性の向上に向けた活動に取り組む。こうして全体の生産性を高めていくのである。

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