米グーグル(Google)の最高経営責任者(CEO)の著書を読むと気付くことがある。それは、マネジメントとは何かについて原理にまで遡って徹底的に追求していること。そして、経験知のベンチマークとしてトヨタ自動車(以下、トヨタ)を研究し尽くしていることだ。

 筆者はこれまで、海外企業がリーン(Lean)やトヨタ生産方式(Toyota Production System;TPS)を研究すると言っても、その本質まではなかなか理解できないだろうと高を括(くく)っていた。日本企業の経営者にもあまり理解されていないトヨタの強さの本質を、まさか海を隔てた地にある海外企業に分かるはずがないと思っていたからだ。だが、グーグルはその本質を見事に見抜き、実際の経営に生かしていたのである。

 この事実を知った時も、筆者は「まずい、本当にまずい」と思った。日本の強みが海外企業に知られてしまったと動揺したからだ。

リーンの源流であるトヨタ自動車に学ぶ日本ツアーの一幕
トヨタ自動車5代目社長の豊田英二氏に「安全第一」と「人間尊重」について学んでいる。(出所:Lean Enterprise Institute)
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 グーグルのCEOは、会社を経営するに当たって最も重要なものはカルチャー(企業文化)だと語っている。日本企業で失敗する典型例は、トヨタの表面的な取り組みを見よう見まねで取り入れるだけで、本質的な部分、つまりカルチャーをまねてこなかったことにある。カルチャーを言い換えるなら、共通の価値観や原理・原則といったところだろう。

 2019年3月期(2018年度)の決算で、トヨタは30兆2256億円の売上高を計上し、2兆4675億円の営業利益をたたき出した。原価改善額も大きな数字だ。これらの数字を見て、日本企業の経営者は「トヨタだからできること」と口をそろえる。これに対し、海外の成長企業の経営者は、「トヨタはどうしてこれほどの好業績を出せるのか」と真剣に研究しているのである。

 筆者がここで述べている内容については、インターネットで「Lean Summit」という言葉で検索すると裏付けが取れる。また、リンクトイン(LinkedIn)で「Lean Blackbelt」という言葉で検索すると、リーンのベルト保持者がいかに多いかが分かる。

2018年度の決算を発表するトヨタ自動車社長の豊田章男氏
日本企業として初めて売上高30兆円を突破した。(出所:トヨタ自動車)
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