米著名デザイナーのジョン・マエダ氏は、現代のITにおいて最も重要なデザインとして「コンピュテーショナルデザイン」を挙げる。

 インタビューの前編では、コンピュテーショナルデザインの源泉はムーアの法則に代表されるハードウエアやソフトウエアの指数関数的な成長にあり、こうした成長を製品やサービスに生かしたテクノロジーリーダーが米グーグル、米アマゾン・ドット・コム、中国アリババ集団といった巨大テック企業であることを明らかにした。

 後編は、現代における優れたユーザー体験の指標としてマエダ氏が提唱する「LEAD」と、日本企業がGAFAに勝ち得るポイントとなる「企業文化の強み」について明らかにする。

(聞き手は浅川 直輝=日経 xTECH/日経コンピュータ)


仏パブリシス・サピエント(Publicis Sapient)のジョン・マエダ最高体験責任者(Chief Experience Officer)
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コンピュテーショナルデザインがもたらす「優れたユーザー体験」とは、どのようなものか。

 優れたユーザー体験は4つの材料「LEAD」からなる。

 1つは「Light(軽快)」だ。この分野のリーダーはグーグルだろう。「Light and Fast」は正にグーグルの企業文化と言える。

 この文化の形成に最も貢献したのは、グーグルの創業期に入社して後に米ヤフーのCEO(最高経営責任者)になったマリッサ・メイヤー氏だろう。彼女は高速化のエキスパートだった。検索やWeb画面の表示を極限まで高速化する方法を探り、これがグーグルの成功を支えた。

 2番目は「Ethical(倫理)」だ。これは現在のところ米マイクロソフトがリーダーだろう。

 同社はチャットボット「Tay」の差別発言などの問題を起こしたこともあったが、社内で技術倫理の重要性を啓蒙するカードゲームを考案して社員に配るなど、ITと倫理を真剣に考えている。

 3番目は「Accesible(使いやすさ)」だ。UI(ユーザーインターフェース)の使い勝手から画面の色使いまで、誰もが簡単に扱えるようにする。技術面では米アップルがリーダーだろう。

 4番目は「Dataful(データの豊富さ)」。膨大なデータを収集し、サービスを高速かつ反復的に改善する。この分野はアマゾン・ドット・コムがリーダーだ。

ユーザー体験の重要な材料として「Ethical(倫理)」が入っているのはなぜか。

 今後のあらゆるITサービスは倫理の課題、中でも性別や人種、障害などで差別せず誰もが使えるようにする「インクルージョン(包摂)」が最大の課題になるとみているからだ。

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