ジョン・マエダ氏は米国を代表するデザイナーの1人だ。米テキサス州で3月に開催されるテクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」で、デザインとテクノロジーの最新動向を紹介する「Design in Tech Report」を毎年発表している。

 同氏は米名門美術大学の学長、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルのパートナーなどを経て、2019年6月に仏パブリシス・サピエント(Publicis Sapient)の最高体験責任者(Chief Experience Officer)に就任した。伝統的な大企業に米スタートアップのマインドセットを伝授する役割を担う。

 現代のITビジネスにおける「デザイン」の重要性と、伝統的な大企業がGAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)などの巨大IT企業に対抗するための方策について、ジョン・マエダ氏に聞いた。

(聞き手は浅川 直輝=日経 xTECH/日経コンピュータ)


仏パブリシス・サピエント(Publicis Sapient)のジョン・マエダ最高体験責任者(Chief Experience Officer)
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現代のIT関連製品やサービスにおいて、「デザイン」の重要性が語られるようになったのはなぜか。

 かつてコンピューターの世界では、デザインやユーザー体験はそこまで重要ではなかったんだ。

 というのは、コンピューターはテクノロジー好きのための製品だったからね。皆、コマンドラインさえあれば幸せだった。

 それがスマートフォンの登場で大きく変わった。子どもから老人まで、誰もがコンピューターを使う時代になった。

 この結果、デザインの重要性がかつてないほど高まった。誰もが美しい、優れたユーザー体験を求めるようになったからだ。

 現在、優れたユーザー体験を継続して提供できているのは、ごく少数のテック企業に限られている。米グーグル、米アマゾン・ドット・コム、中国アリババ集団といった巨大IT企業だ。

 これらの企業に共通するのは、ITの指数関数的な成長や革新を前提としたデザイン、つまり「コンピュテーショナルデザイン」をうまく生かしてることだ。

 製造や物流などを手掛ける伝統的な大企業の多くは、このダイナミズムを理解できていない。その結果、旧来の企業は競争力を失いつつある。

 私は2019年6月にパブリシス・サピエントにジョインして最高体験責任者になった。主な役割はこうした伝統的な大企業をサポートすることだ。大企業が持つ企業文化を生かしつつ、スタートアップのマインドセットを持ってもらう。

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