ラグビーボールのような形の白い受信機をぶら下げたドローンが山間部に向けて飛び立った。人の立ち入りが困難な険しい山の地下に分布する地質や地下水を、空から「透視」するためだ。

 用いるのは、電磁気を使って岩石の硬さなどを求める空中電磁探査という手法だ。ネオサイエンス(大阪府泉南市)が機器を開発し、「D-GREATEM」と名付けた。

磁場を計測する受信機を2.5m下に吊るして飛ぶドローン。機体はDJI製の汎用品だ(写真:ネオサイエンス)
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 空中電磁探査の仕組みは以下の通りだ。まず、計測したい範囲を囲むように地上にケーブルを敷く。次に、受信機を上空に飛ばした状態で、ケーブルに強い電流を流して磁場を発生させる。電流を止めると、今度は磁気を帯びた地盤から、岩石の硬さや含水率などによって異なる強度の磁場が発生。数ミリ秒の間隔で電流のオン・オフを繰り返して地盤が発する磁場の変化を記録する。

 それを解析すると、地盤の比抵抗(単位長さ当たりの電気抵抗)の分布が深さ方向に得られる。比抵抗は岩石の硬さなどと相関があるので、付近のボーリング調査の結果と比べれば地質を推定できる。一般に、硬質の岩石ほど比抵抗が高く、粘土質の岩盤や地下水では比抵抗が低い。地盤の硬さや電流の大きさなどに左右されるが、最大で地下2000m程度まで見通せる。

 計測したい箇所の直上で磁場を受信する必要があるので、広範囲を調査するにはドローンが最適だ。複数の箇所で地質の情報を取得すれば、データをつなぎ合わせて3次元で可視化できる。

 山間部のトンネル工事で特に力を発揮しそうだ。掘削するルートの地質を立体的に把握できる。2018年に岐阜県内で掘削するトンネルの事前調査に適用して深さ約150m、延長200m程度を探査し、断層破砕帯の分布などを推定した。「地滑りの調査や地下水位の把握にも活用できる」とネオサイエンスの城森明代表は話す。

地質の計測結果をつないで3次元で可視化する。格子状のラインがドローンの飛行経路。色が赤いほど比抵抗が小さく、地盤が軟弱ということを示す(資料:ネオサイエンス)
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