空を飛ぶばかりがドローンではない。近年盛り上がりを見せるのが、水中ドローンの市場だ。従来、ダムや桟橋といったインフラの水中部の点検は潜水士が目視するしかなく、手薄になりがちだった。水中ドローンは、この難題を解決する。

 ベンチャー企業のフルデプス(東京・台東)が独自に開発した「DiveUnit300(ダイブユニット300)」は、300mの深さまで潜れる水中ドローンだ。機体は幅41cm、奥行き64cm、高さ38cmで、重さは約28kg。前面にカメラを備えて水中を自在に動く。1度の充電で4時間にわたって調査できる。

フルデプスの伊藤昌平社長と、水中ドローンの「DiveUnit300」。もともと「深海魚とロボットが好き」という伊藤社長の趣味が高じて開発を始めた。大学在学中から試作機の開発に従事し、2014年に会社設立。初めて造った水中ドローンは深さ1000mまでの潜水に成功した(写真:日経コンストラクション)
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 撮影した映像は、機体から水上で待機する船に最長1.5kmの光ファイバーを通じてリアルタイムに伝送する。さらに、同社が開発したクラウドシステムを使って遠隔地の事務所のパソコンでも映像をチェックできる。これまで沖縄県内のダムの点検をはじめ、50件を超える実証試験を実施。2019年4月には3億4000万円の資金調達を決め、量産に着手した。

 水中ドローンが稼働する現場には、空とは全く異なる過酷さがある。その最たるものが水の濁りだ。フルデプスの伊藤昌平社長は、「ダムの濁った水の中などでは、わずか数メートル先が見えないことがある」と説明する。潜水士が潜っても視界がほとんど確保できず、点検する場所を探すところから始めなければならない。

フルデプスの水中ドローンを使い、建設環境研究所が調査した沖縄県内のダム。鋼製フィルター部の健全性などを確認した。内閣府沖縄総合事務局の北部ダム統合管理事務所が発注した(写真:フルデプス)
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開発した「DiveUnit300」と専用の光ファイバーのケーブル、処理用のパソコン。機体は1台数百万円となる見込みで、販売の他にレンタルも実施する。ケーブルは独自技術で水と同じ比重を実現。浮きも沈みもしないので、水中ドローンの動作の邪魔にならない。耐久性が高い高強度繊維を採用した。1.5kmの長さで約20kgと軽く、持ち運びが容易だ(写真:フルデプス)
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