「50万円以下の市販ドローンでも橋は点検できる。予算の少ない自治体でも導入可能だ」

 建設業向けに特化したドローンスクール、Dアカデミー(横浜市)の依田健一代表がそう言って取り出したのは、機体の上部にカメラを固定して、前面と上面を同時に撮影できるように改造した汎用ドローンだ。機体は30万円程度、カメラは約3万円で、いずれも容易に手に入る。

Dアカデミーの依田健一代表。ドローン操縦士の技能証明などを発行する民間団体、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の認定講師。国土交通省東北地方整備局が毎年主催するイベント「EE東北」で2015年、ドローンによる測量技術などを競う全国大会に出場して優勝した。2016年のDアカデミーの立ち上げ以前は生コン会社を経営し、新技術の活用に積極的な建設会社で構成する団体「やんちゃな土木ネットワーク」に参加するなど建設業界の生産性向上に取り組んできた(写真:日経コンストラクション)
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 すでに千葉県君津市内の橋で、市やアイネット(横浜市)と共同で効果を実証している。長さ約50mのトラス橋の床版下面を手動で飛ばして連続撮影し、そのデータをつなぎ合わせて1枚のオルソ画像に変換。劣化状況を一目で把握できると確認した。カメラのズーム機能などを駆使すれば、鋼材のさびや支承の損傷も視認できるという。市は20年度の本格導入を目指して、職員自らこの市販ドローンを操縦して点検に用い始めた。

GoProのウエアラブルカメラ「HERO7」で撮影した君津市内に架かるトラス橋の床版下面。写真をつなぎ合わせてオルソ画像に変換した。横構が消えて点検しやすくなっている。Dアカデミーは、人工知能(AI)を使った画像認識技術を持つAutomagi(東京・新宿)と共同で、床版のオルソ画像からひび割れなどを自動で見つけるAIの開発にも取り組んでいる(写真:Dアカデミー)
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 「0.1mm単位で正確にひび割れ幅を見分けられるような高価で高性能なドローンには及ばない。しかし、多くの自治体が求めているのは、劣化した多数の橋の補修順位などを安くて簡単に把握する技術ではないか」(依田代表)

 大まかに劣化状況を把握した後は、損傷箇所を中心に近接目視などで詳細に点検すればよいという考えだ。それだけでも、点検に要する時間やコストを圧縮できる。

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