日本を代表するAI(人工知能)スタートアップの1社、Preferred Networks(PFN)の有志チームが2019年10月初頭、2つの国際画像認識コンテストで世界トップクラスの成績をたたき出した。

 1つは画像の中にある物体の領域を特定する「インスタンスセグメンテーション(Instance Segmentation)」の精度を競うコンテスト。PFNのチームは193チーム中3位を獲得した。

 もう1つは、画像のどこに何があるかを判別する「物体検出(Object Detection)」の精度を競うコンテストで、559チーム中4位につけた。

 この好成績を達成したのは、PFN 機械学習基盤担当VPの秋葉拓哉執行役員が率いる7人のエンジニアチーム「PFDet」である。

「PFDet」のメンバー
(出所:Preferred Networks)
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 2つのコンテストはどちらも米グーグル(Google)の研究部門がAIの国際コンテストのプラットフォーム「Kaggle(カグル)」上で開催した。トップ5のチームは賞金を獲得できる。

 「我々が保有する(スーパーコンピューターの)計算力とChainerなどのソフトウエア、そして研究者の能力が、総合力として世界の上位層と互角に戦えることを客観的に評価できた」と秋葉執行役員はその意義を語る。さらに同氏は今回の成果をもってKaggleにおける「Grandmaster」の称号を得た。

 とはいえ、秋葉執行役員は世界3位、4位という結果について「首位を狙える位置にいた。すごくくやしい」と本音を吐露する。

Preferred Networks 機械学習基盤担当VPの秋葉拓哉執行役員
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 実は同チームは、2018年夏に開催されたグーグル研究部門主催の物体検出コンテストに参加し、454チーム中2位につけた。スコアは0.58634で、1位の中国バイドゥのチームとはわずか0.023%の差だった。

開発した画像認識モデルを横展開

 今度こそ首位を、と臨んだコンテストでの3位と4位。それでも、2年にわたる画像認識コンテストへの参加を経てPFNが得た果実は大きい。

 今回のコンテストには、グーグルが提供する世界最大規模の画像データセット「Open Images」が使われた。このデータセットに基づく画像認識モデルで世界トップ級の精度を実現したことは、「世界最高レベルの画像認識モデルを開発できる技術力を持つ」ことを意味する。

 実際、PFNは2018年のコンテストで開発したモデルをベースに、複数のプロトタイプや製品に画像認識機能を導入している。2018年10月の技術展示会「CEATEC 2018」で公開した「全自動お片付けロボットシステム」もその1つだ。

 Kaggleのコンテストへの参加をPFNの企業価値向上につなげてみせたPFDet。そのチームを率い、Grandmasterになった秋葉執行役員がKaggleに参戦したきっかけは「深層学習をほとんど知らなかった」ことだったという。

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