データサイエンスを起点にシステムインテグレーション(SI)を変える――。日立製作所で社会インフラのSI事業を担う社会・通信ソリューション本部のデジタルソリューション推進部で新たな挑戦が始まった。

 70人ほどのデジタルソリューション推進部で、2019年4月に4人から成る「次世代SEチーム」を本格始動させた。4人はいずれもシステムエンジニア(SE)出身のデータサイエンティストだ。AI(人工知能)の国際コンテストのプラットフォーム「Kaggle(カグル)」に参加する人材も含まれる。

左からデジタルソリューション推進部長の仲根伸一氏、同部の蒲生弘郷氏、浦谷達也氏、淵脇誠氏、阿部田将史氏
[画像のクリックで拡大表示]

SEに求められるスキルセットが変わる

 次世代SEチームはデジタルトランスフォーメーション(DX)に特化したSIを実現する。そのためにデータサイエンスやAIのスキルを持つ人材を選抜した。DX案件では小規模・中規模のPoC(概念実証)や課題検証から始まることが多く、これらのスキルの重要性が増しているからだ。

 大規模システムを構築する従来のSIではプロジェクトマネジメントや要件定義、業務知識などのスキルが重視されてきた。従来型のSEはそれらのスキルを持つ。

 一方でデータサイエンスやAIのスキルは乏しい。このためデータ分析が求められる案件は、社内の専門部隊に再委託する形になる。顧客が求める真のニーズをつかみ切れずプロジェクトが中止に至ることもあった。

 そこでデジタルソリューション推進部はこうした「分業」を避け、SE出身のデータサイエンティストが顧客から直接データ分析のニーズを聞く体制を作る。その一環で発足させたのが次世代SEチームというわけだ。

 リーダーの淵脇誠主任技師は競技プログラミング「Topcoder」などの参加実績がある。競技の実績を示すレーティングは「Yellow」。最上位の「Red」に次ぐ上位のレーティングだ。

 メンバー3人もトップクラスのデータサイエンティストである。蒲生弘郷氏は日立製作所が認定する「データ・アナリティクス・マイスター」の称号を持つ。阿部田将史氏は鉄道、電力、通信といった社会インフラ向けデータ利活用の経験が豊富なデータサイエンティストだ。

 そして浦谷達也氏はKaggleのAI開発コンテストの参加者。いわゆる「Kaggler(カグラー)」である。Kaggleを始めて1年ほどで音声認識コンテスト「Freesound Audio Tagging 2019」において金メダル(トップ10)を獲得し「Expert」の称号を得た。

 浦谷氏によると、Kaggleへの参加がSIの業務に大いに役立っているという。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら