IoT(インターネット・オブ・シングズ)端末向けエッジAI(人工知能)の開発を手掛けるスタートアップ企業のLeapMind(東京・渋谷)には、外国籍のエンジニアを含む社員のスキルとチームワークを高めるユニークな取り組みがある。社員が1週間ほど本業から離れてプログラミングや研究に専念する社内ハッカソン「HackDays」だ。4カ月に1度開催し、一部の顧客営業担当を除き、総務など非エンジニア組織を含む全社員が参加する。

 将来のビジネスの種から社内環境の改善まで、様々な開発テーマが並ぶ。2019年7月に開催したHackDaysで「Best Edge Deep Learning」という賞に選ばれたのは「自転車に近づく歩行者や自動車を検出し危険時にできるインテリジェントな後付けAIカメラの提案」だった。

成果発表の様子
(出所:LeapMind)
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 このほか社内の環境を改善するユニークな取り組みとして、「オフィスのエアコンの設定温度をカメラ画像より監視し、Slackに通知を出すことで、設定温度の乱高下を改善するプロジェクト」が「Best LeapMind」という賞に選ばれた。

 HackDaysを企画したPR/ブランディング部門の飛永由夏氏は、こうした取り組みの狙いの1つは「国籍にとらわれずコミュニケーションを活性化させること」と語る。

 同社の外国籍エンジニアは2019年10月時点で13人。全エンジニアに占める割合は3割と高く、来日して間もないエンジニアも多い。2019年7月のHackDaysでは、2日目に開発の息抜きとしてスイカ割り大会を開催したほか、3日目を「浴衣Day」として、社員の大半が浴衣姿で開発に当たった。「外国籍の社員も着付けを同僚に教わったりして、楽しそうに参加していた」(飛永氏)

ハッカソンの合間に、息抜きとして「スイカ割り」などのイベントを開催
(出所:LeapMind)
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浴衣姿で開発に集中する社員
(出所:LeapMind)
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皆でたこ焼きをつくるイベントも
(出所:LeapMind)
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 同社で活躍する外国人エンジニアの1人が、ロシア出身でBlueoil部門アクセラレーターチームマネージャーのネズ・ニコライ氏だ。深層学習の演算を加速させる半導体回路に向けたコンパイラーの開発チームを率いる。ニューラルネットワークの計算タスクを適切に分割し、回路への命令に変換する。所属チームの5人中4人が外国人エンジニアだ。

Blueoil部門アクセラレーターチームマネージャーのネズ・ニコライ氏
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 ロシアの大学と大学院でコンピューター科学を先行し、米国の半導体スタートアップに入社。機械語を異なる機械語にコンパイルする「バイナリー変換(Binary Translation)」の研究開発を手掛けていた。その後、「日本に住んでみたい。日本語を学んでみたい」という思いが高じて来日。2018年にLeapMindに入社した。「LeapMindの省電力深層学習技術を業界1位に育てたい」と同氏は語る。

海外人材の採用は重要な企業戦略

 「LeapMindの採用面接は全てオンライン、英語で完結できる」と説明するのは、同社で海外人材の採用を手掛け、自身もモンゴル出身の外国籍社員であるHR部門のエンフタイバン・オドゲレル氏だ。

HR部門のエンフタイバン・オドゲレル氏
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 小学生のときに親と共に来日し、米レイクランド大学のジャパン・キャンパスに進学。日本での就職に興味がある大勢の外国人学生に出会ったことから、日本企業の人事部門で外国人学生の採用をサポートする道を志し、2018年にLeapMindに入社した。

 エンジニアの主な採用のチャネルはSNS(交流サイト)の「Wantedly」や「LinkedIn」、リファラル(社員に人材を紹介してもらう採用方法)だ。国籍を問わず求人を出しているが、エンジニアについては海外からの応募の方が多いという。このほか優れた論文を発表している海外人材や国内留学生に直接声をかけることもある。

 LeapMindが専門とするエッジAIはもともと日本人エンジニアが少なく、創業当初より海外人材の採用は重要な戦略の1つだった。東京都渋谷区にオフィスを置いたのも「渋谷」という世界的に知られた地名が生きるとの読みがあった。

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