あらゆる状況に臨機応変に対応する必要がある施工管理業務。人工知能(AI)を活用し、建設技術者による品質、コスト、工期、安全の管理を支援する技術が登場している。人手不足を背景に、こうした技術やサービスの開発がますます活発になりそうだ。

 オートデスク 
AIで品質や安全に関する作業リスクを管理

 AIを活用し、様々なシステムの開発を進めるオートデスク。同社は、工事の進捗状況などを管理するクラウドサービスを海外で試験的に提供している。サービスの肝となるのが、「Construction IQ(コンストラクション・アイキュー)」と呼ぶAIによって、品質や安全に関するリスクを容易に特定する機能だ。

 現場の技術者が当日の作業をスマホやタブレット端末で入力すると、AIが事故や施工ミス、遅延が発生しやすい作業などを提示する。さらにそれらを、作業員の安全性に関する項目やプロジェクトの品質に関する項目などに分類する〔図1〕。

〔図1〕施工ミスや作業の遅延を防ぐ
当日の作業のリスクをスマホやタブレット端末で確認できる。AIは、協力会社の実績を総合的に判断し、当日の作業のリスクを表示する(資料:オートデスクの資料に日経アーキテクチュアが加筆)
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 現場の技術者は、AIが提示した結果を参考に作業計画を立てられるため、事故の発生や作業の遅延、工事の手戻りを減らせる。

 作業後、現場の技術者はその日の報告書をクラウド上にアップロードする。AIは、日々蓄積される情報を学び、提示する内容に反映する。

 オートデスク技術営業本部の大浦誠氏は、「海外で提供しているサービスは試作版だが、実際にサービスを利用した企業では、現場の技術者の負担が約20%削減できた」と語る。

協力会社も評価対象に

 AIが提示するのは、危険性の高い作業だけではない。業務の質が悪いい協力会社も特定できる。

 過去の膨大なデータから、下請けの施工ミスの回数や、その後の対応、レスポンスの速さなどを踏まえて、業務の質を判定する。「作業員がヘルメットを着用していなかった」、「機器設置の際に安全性の確保を怠った」といった建設現場の作業員の行為も評価に加味する。

 この評価は、当日の作業リスクを現場の技術者が判断するためだけでなく、発注者が施工者を選定する際の判断材料としても使用できる。過去の実績を検索して「前科」を確認することも可能だ。

日本での提供も検討

 AIには、現場の技術者が作成した品質管理シートや安全管理シートなどの情報、作業に実際にかかった時間などをセットで学習させた。使用した教師データは3万プロジェクト分、1億5000万件以上に上る。米国の建設会社に協力を依頼し、約2年かけて教師データを作成した。

 オートデスクは今後、国内のプロジェクトについてもデータを集めて、同様のサービスを始める考えだ。

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